藤沢ワールド

１９９７年（平成９年）１月２６日に亡くなった藤沢周平の未刊行初期短編集「無用の隠密」を読了しました

昭和３７年から３９年にかけて書かれた短編１５作品　

藤沢作品は登場人物が多いので　健忘症気味の老人には中々読み難い部分もあります

未だ　自分のスタイルを完全に作り上げる前の作品ですから　色々ブレもありますが　藤沢ワールドが見事に展開されています　

藤沢作品は　基本　時代小説ですが　全体的に暗い　山本周五郎は大衆小説はハッピーエンドでなければならないと話されたそうですが　市井の民衆が貧乏の末に死んでしまうような話が多く　小説を愉しむ心境にはなれず　人生修行に苦しむような読後感を持つものが多く感じられます

日本海の冬のような　裏哀しい気持ちになるのに　又次を読んでしまう　麻薬のような小説です

買い溜めた文庫本を　もう一度読み直し始めました