新潮文庫の藤沢作品も残り僅かになってしまいました 未読は「ふるさとへ廻る六部は」という随筆一冊
新潮文庫としては最後の小説となってしまった この天保悪党伝 藤沢作品としては珍しい悪党もの ベースには「天保六花撰」という講談があるらしいです河内山宗俊の名前位は私も知っていましたが どんな悪党だったのかは存じ上げません江戸末期の爛熟社会の中で「ゆすり たかり」博打 スリ 果ては辻斬りと荒れた生活の中で6人が絡み合っていく しかも悪事は続かず 悲惨な地獄への最期道を転げ落ちていく話ですから 痛快とも云えません著者60歳前後の脂の乗り切った頃の作品とすると 出版社から依頼された作品ではなく 作家独特の何か毛色の変わったものを書いてみたいという衝動から生まれた作品かもしれません藤沢さんにこんな分野の作品があったのかと思う意味では面白いが 文庫全集を順番に読んでいって最後のこの作品に突き当たると少し後味の悪さが残ります