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ラピスラズリブルー

安吾史譚

坂口安吾と云えば 堕落論以外に何か思い浮かぶでしょうか

安吾史譚_d0338347_14201039.jpg
歴史小説も結構書いているようです 私にとっては初めての坂口安吾でした
初出は昭和27年 今年10月に再版されました 157頁の薄い本で7人の歴史上の人物論を展開しています
彼自身が解説している通り 講談で学んだ技法を取り入れているそうな 少しべらんめぇな語り口 史実を基にしていますが独特の発想で歴史上の人物を描写しています
独特の発想と云うより 妄想に近いような捉え方です

例えば 弓削の道鏡 何の害毒もない謹厳実直な僧侶で称徳天皇と男女の関係にはなかったと論じています
道鏡は 天智天皇の孫と云う説があり 天智天皇の息子 志貴(施基)皇子の息子にあたります
藤原仲麻呂が称徳天皇の寵愛を受けているときに 同族の藤原一族の反仲麻呂派が道鏡を称徳天皇に紹介し仲麻呂失脚を図ります 
目論見通り仲麻呂が失脚すると 反藤原派は宇佐八幡のご宣託を称徳に捧げ子供のない称徳の後継天皇に道鏡を推します
更に和気清麻呂にご宣託は偽りと伝えさせ 道鏡の即位を阻み 道鏡の兄弟である白壁王を後任の天皇とします

何故 ご神託は天皇家の祖先である伊勢大神宮に求めずに 宇佐八幡などを引き出すのか 
失脚した道鏡は 左遷はさせられますが 特に懲罰を与えられることもなく生涯を終えています

確かに安吾の推論は 成程と思わせるところがありますが 何か飛躍があるようで今ひとつしっくり来ません
良く調べ上げたなあとは思います あの時代どうやって下調べをしたのか 興味津々です

文章の力は 矢張り司馬さんの方が 物語に引き込んでいく力がありそうです


 



by toshi-ohyama | 2017-12-05 07:27 | 幕張図書館 | Comments(0)
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