海坂藩は 藤沢周平が故郷山形を模して創り上げた空想上の藩です
藤沢周平は 「一茶」のような歴史上の人物の史伝も書いていますが 海坂藩を想定した下級武士 農民の話が彼の得意とするところです
「雲奔る」は 幕末の志士 米沢藩雲井龍雄を書き留めたもの 書き込まれた幕末の政治情勢は 徳川慶喜将軍就任経緯など 初めて知る史実も数多く散りばめられています
司馬遼太郎は 史実を可成り膨らませて彼の竜馬や土方歳三を創り上げました
藤沢周平の雲井は史実に忠実に書かれているように思えます
藤沢周平の作品は 余りハッピーエンドになりません 特に初期の作品にこの傾向があります 山本周五郎が大衆小説はハッピーエンドに限ると主張するのと対照的ですこの作品も 主人公雲井龍雄は討薩を叫び最後に斬首されます