手元にある文庫は 1983年初版の第31刷なので 文字が小さく老眼鏡なしでは字が読めません
表題も含めての5編の短編小説 巻末に藤沢周平のあとがきが付いています藤沢さんが 近所の喫茶店で一人珈琲を愉しむ話を綴っています お代わりを注がれたり女主人に声を掛けられるのが煩わしいと書かれていますが 藤沢さんの自宅などすぐわかるでしょうし 何処の店の話か直ぐ判ってしまう... 意外と無頓着な方だったのかなと思ったりします
巻末の解説に 表題となった長門守の陰謀は 第1巻暗殺の年輪に収められた「ただ一撃」と同じ人物が登場すると書かれています作家は 登場人物の性格や人となりを綿密に練り上げ物語を構想すると思われます その意味で前作を引き摺ることはないのかと変な心配をしてしまいました初期の作品は 比較的悲惨な結末や 話の周辺を綿密に書き上げていくが故に話の進行の遅さが気になる傾向があります 年代順に読んでいくとその辺の変化も愉しみに思えます