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ラピスラズリブルー

又蔵の火

藤沢周平は昭和2年生まれ 昭和48年(1973)45歳『暗殺の年輪』で第69回直木賞
この時の選者の一人 司馬遼太郎は 「この作品は、いわばただの時代小説である。」「ただ端正につくった上手物の焼物という感じだが、ともかくも膚質のきれいさがすてがたいというところがあった。」「かつて次点になった作品群よりこれらがすぐれているとは、かならずしもいえない。」と余り高い評価を与えていません

今回ご紹介する 「又蔵の火」は 直木賞受賞の前後に書かれた5短編を取り上げています
巻末にある本人のあとがきで 自分の中に書くことでしか表現出来ない暗い情念があり「否定しきれない暗さ」が一種の基調となって底を流れている 此の頑固な暗さの為に ある時 期賞には縁がないものとあきめた諦めたことがあると書いています
読む人に勇気を与えたり快活で明るい世界を開いて見せる小説が正のロマン(多分 山本周五郎が大衆小説について話した言葉と思われます)とするならば この時期の藤沢周平は 正に負のロマン作家でありました

又蔵の火_d0338347_09135366.jpg
何れも主人公は 不幸な結末に終わるので 読みごたえは爽快とは云えません
しかし 又藤沢作品に手を伸ばしてしまう 其れが藤沢周平の魅力と云えましょうか






by toshi-ohyama | 2018-08-12 06:31 | 幕張図書館 | Comments(0)
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