小説の周辺

久しぶりの藤沢周平　しかもエッセイ集です

本人が選んで一冊にしたものではなく　文藝春秋社の編集担当者が纏めたもののようです藤沢氏は　随筆自体には　ある程度自信を持っているようで　小説の片手間に書くのではなく　専門的に書けば短文もこなせると後書きに綴っています
藤沢周平の初期の作品に暗い結末が多いことを　本人も自覚してそのように告白しています当時の作品は　読者を意識したものではなく自らの心の中に籠る鬱屈を吐き出すための手段として　時代を江戸時代の庶民生活に置き換えて　自らの私小説的表現で書き連ねたとのこと　読者を意識し大衆小説のに必要な　明るさ救いを意識し始めたのは小説新潮に「用心棒　日月抄」を書いた頃からでユーモアを織り込むことにより　藤沢スタイルを確立したと独白しています
後半の　短歌　俳句評論は　既に素人の域を遥かに脱しており　詩の世界が苦手な私には読み続けるのが苦痛な様相を呈してしまいました
彼の小説に登場する海坂藩は　庄内藩の置き換えと云われますが　　「海坂」は　野火止の結核療養所時代に投稿していた静岡の俳誌「海坂」に拠ると書かれています