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ラピスラズリブルー

道誉と正成

久しぶりに安倍龍太郎の小説


道誉と正成_d0338347_11131814.jpg
安倍龍太郎は 国立久留米工業高等専門学校機械工学科卒 「等伯」で第148回直木賞を受賞 数少ない歴史小説作家のひとりです

バサラ大名佐々木道譽は近江佐々木源氏 宇治川の合戦の佐々木高綱の子孫
楠木正成は 山の民 川の民 馬借など物流に携わる民を纏め 財力を蓄えていきます
後醍醐は 建武の新政で北条武家政権を倒し天皇親政を確立しますが 僅か三年で足利尊氏に追われます
この小説の中では 正成一人が天下万民の為 後醍醐と対立する大塔宮のために尽力する
当時の皇室 公家 寺社の財源は 自らの所有する荘園から揚がる租税
道誉・正成 二人の財力は 元との貿易 物流から揚がる銭
足利高氏は 後醍醐を支えますが 征夷大将軍の地位を求め 拒絶されたため反旗を翻し大敗 博多後に逃れますが 元貿易によって得られた大量に輸入される銭を押さえることにより財力を高め反撃に転じ 湊川で正成を下し 政権を獲得します
物々交換の世界が銭にとって代わる時代の価値観の変化を書き綴ります
後醍醐にも天皇親政という考えはあっても天下万民を思う心はなかった
第二次世界大戦時 東條内閣は 大東亜共栄圏構想を掲げ日本の正当性を主張するが 基本的にその根底に 天下万民の為という思想はなかった
日本書紀の中には 第十六代仁徳天皇の逸話などもありますが 事実関係は不明です
爾来 日本の歴史に天下万民を思う思想などなかったと気付かされます

作中に夢窓疎石の投機の偈が 掲げられます

     投機偈(げ)    
 
     多年掘地覓青天    多年、地を掘って青天を覓(もと)む
     添得重重礙膺物    添え得たり重々礙膺(げよう)の物
     一夜暗中飃碌甎    一夜、暗中に碌甎(ろくせん)を飃(あ)げ 
     等閒撃砕虚空骨    等閒(なおざり)に撃砕(ぎゃくさい)す虚空(こくう)の骨
 
「投機(とうき)の偈(げ)」の「投」は投げる、そこへ投ずるということ。「機」というのは心の働きのことです。「偈」(げ)というのは禅で偈頌(げじゅ)と言って、七言の絶句のことです。「天(てん)」と「甎(せん)」というように韻(いん)を合わせているわけです。
 多年、地を掘って青天を覓(もと)む─長い間大地を掘って青天を求めるように、方向違いのことをしてきた。
 あれを学びこれを学んで、なんとか生死脱得(しょうじだっとく)の悟りを開こうとしてきた。
 添え得たり重々礙膺(げよう)の物─悟りに邪魔になるものばかり積み重なってしまった。
 一夜、暗中に碌甎(ろくせん)を飃(あ)げ─かわらけもみな上に吹き上げてしまった。
 等閒(なおざり)に撃砕(ぎゃくさい)す虚空(こくう)の骨─虚空にも骨がある。
 その骨もぶっつぶしてしまって、まったく無一物の世界に入ってしまった。

もう一つ この小説から学んだこと
錦の御旗 
略称錦旗(きんき)、別名菊章旗、日月旗。 赤地の錦に、金色の日像・銀色の月像を刺繍したり、描いたりした旗(この日之御旗と月之御旗は二つ一組)。 朝敵討伐の証として、天皇から官軍の大将に与える慣習がある。 承久の乱(1221年(承久3年))に際し、後鳥羽上皇が配下の将に与えた物が、日本史上の錦旗の初見とされる。
官軍の大将を示す旗に関しては初めから定まった形があったわけではない。源頼朝の奥州合戦では「伊勢大神宮」「八幡大菩薩」の神号と鳩の意匠が入ったもの(『吾妻鏡』)が用いられ、後醍醐天皇が笠置山に立て籠もった際には日輪と月輪の意匠が入ったもの(『太平記』)が、室町幕府初期には「伊勢大神宮」「八幡大菩薩」の神号と日輪の意匠が入ったもの(『梅松論』)が用いられたと伝えられている。後に室町幕府では日輪と「天照皇太神」と入った錦の御旗と足利氏の家紋である二両引と「八幡大菩薩」と入った武家御旗(幕府の旗)の2種類が用いられた。錦の御旗を用いるには天皇の治罰綸旨が下されることが必要とされていたが、実際の御旗は綸旨を受けた側(この場合には室町幕府)が自分で用意する必要があった。このため、錦の御旗の大きさや旗竿の長さなどは武家御旗のそれとともに武家の故実に属していた。また、錦の御旗を掲げる事が出来る大将は足利氏を名乗れる将軍の一族、武家御旗を掲げる事が出来る大将は足利氏の一門に限定されていた

学ぶことが多かった小説ですが 正成と道誉の立場からの展開を交互に織り挟むためか 少し読みにくい印象を持ちました




by toshi-ohyama | 2019-11-16 06:45 | 幕張図書館 | Comments(0)
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