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ラピスラズリブルー

周平独言

私の読書習慣として 一人の作家の文庫本を まず全部買い集め出版順に読み解いていくという癖があります
藤沢周平も順番に読んできましたが 彼の随筆は 文章がとっつきにくく 読み残していました
「ふるさとを巡る六部は」という随筆を 何度も途中で放り出していたのを読み終え 次に取り掛かったのは「半生の記」でした
この本の中で「周平独言」という彼の随筆集があることを知りました
これは私のライブラリーに入っていなかったので 買い求めようと思っていたところ 周平ファンの友人から偶然お送りいただき 早速取り組みました 

周平独言_d0338347_14253012.jpg
私は 現役時代の読書時間は 通勤途上の電車の中が多かったので 文庫本で読むことが多いのですが 今回は単行本をお送りいただきました

「周平独言」は 彼の歴史小説の登場人物を語る形で書かれたものと 藤沢周平の故郷の想い出や上京後の彼の生活の周辺を語ったものが含まれます
私の読んだ単行本は 2006年10月の初版本ですが 面白いことに1996年中公新書から出された「周平独言 改版」を単行本化したものです
通常 単行本で出版され良く売れた単行本が 文庫本化されるのが通例ですが この本は 更に(再度?)単行本化された珍しいケースのように感じます

前半の歴史小説の登場人物評論は 著者が深く歴史を学ばれたうえで作品を組み上げていった処が窺えます
後半は 藤沢が愛した山形の地への故郷愛を強く感じます

ハチマキには「秀麗な文章」とありますが 私には少しとっつきにくいところもあり 余りのめり込めません
新聞社勤務時代に「溟い海」が第38回オール讀物新人賞を受賞 翌年「暗殺の年輪」で第69回直木賞受賞という輝かしい実績を持ちながら 自分はそれ程の大作家ではないと謙遜を綴ります

思うに 藤沢周平の随筆は 「自虐文」であろうかと思っています
太宰治辺りは 自らの文才をこれでもかという程綴ります
藤沢は 自らの棲む処は 時代小説であると語っています 山本周五郎が大衆小説はハッピーエンドで読者に元気を与えねばならぬと
語ったのに対し 藤沢は「余韻文学」ともいうべき新分野を開拓したのかもしれません
司馬さんは 「テレビは 視聴者を白痴化させる」と語っています(晩年 彼自身がTVをよく見ていたそうですが)
落語は 噺を聴く者の想像力を逞しくするという意味で充分芸術であると語った人が居られました

スマートフォンの普及が 本の販売を著しく低下させているのではと危惧します
「読書は人を育てる」という言葉を 今 切実に感じています
その意味で 藤沢作品の読者を増やすことが 日本文化の維持発展に大きな力になるのではと痛感する次第です

 





by toshi-ohyama | 2020-02-08 05:48 | 幕張図書館 | Comments(0)
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