藤沢周平の自伝的随想です

藤沢周平記念館開館記念とありますから 藤沢さんの没後に編集されたのかと思います 記念館の開館は平成22年4月29日
藤沢さんほど ご自身の生い立ちからご自身の周辺を細かく随筆として発表された方も少ないかと思います
何故小説家になったのか ご自身の小説体験も実に細かく記述しています
自分の随想は 自己存在証明であると書かれています
また「子供の頃に 自然の感触を身体で確かめるような時期が無かったとしたら 小説を書いたところで 一行だってまともな自然描写など出来るはずがないと思うからである」とも述べられておられます

此の随筆に使われている書体は 「游明朝体R」というものだそうです
時代小説と現代小説が同じ書体というのは変じゃないか 時代小説にはそれにふさわしい書体があるべきだ」との考えで 字游工房鳥海修社長が創ったと解説に書かれています
新書体の特徴は 漢字は点やハネの先端を丸くして優しい印象にし 平仮名は漢字よりも小さめにし 肉筆の幹事に近づけたとのこと
此の活字で「海坂藩大全」「帰省」の二冊と このエッセイが出版されたそうです
司馬さんも ご自身の活字を持っていたと読んだことがあります 線が細く空白が多い読みやすい活字だそうです
殆ど気付かずに読んでいますが こんなことも 我々の読後感に大きな影響を与えているのですね