青山文平の文庫本
新刊で購入し約二年放置していました
作家は 作品の設定を決めれば 後は一気呵成に書けるものと聞きますが 如何なものでしょうか
時代小説は 既に書き尽くされてしまった感があります 青山文平は 「名子」という初めて聞く身分を歴史の中から拾い出してきて 我々に見せてくれます
加賀五箇山では 火薬の原料となる焔硝(加賀藩では塩硝と書いたそうです)が密かに作られていたそうです その作り方は実は化学反応的な工程が必要になるのですが とても神秘的な話として展開されます 焔硝は黒色火薬の材料であるとともに 肥料としても効能が認められていたそうで 蚕の糞が原料となるという非科学的にも感じられる製法と生成場所が物語の展開に絡みます
「励み場」という言葉も 作者の造語なのか良くわかりませんが それ程の山場もないわりに吸い込まれていく不思議な小説でした