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ラピスラズリブルー

父の詫び状 再読

向田邦子の 初めての随筆 父の詫び状を再読しました

父の詫び状 再読_d0338347_10212605.jpg
映画雑誌の編集の傍ら ラジオ番組「森繁の重役読本」の台本を書いていた向田さんがTV台本で売れっ子となります
昭和50年に乳癌を患い番組を降り 手術から1か月 文藝春秋社 車谷弘の推薦で 銀座百点から隔週での執筆依頼を受けます
術後の後遺症で右腕が使えなくなり 左腕で執筆したとのこと 遅筆ではあるが書くスピード自体は物凄い早さだったという向田さんんが
左手でゆっくり書いている姿は想像がしにくいものです

個人的な話ですが 前職で勤務した会社の本店が銀座五丁目にあり 私の現役の時に銀座百点会に入会したこともあり ギンザコア8階の銀座百点会の事務所には良く足を運びました 当時の編集長は小山さんという方で 総勢5人で編集を担当されて居られました
日本最初のコミュニティー誌は会員の拠出金(毎月4万円弱)で賄われ 会員は銀座に本店を置く個人商店 約150社 会費と広告料以外に収入が無いので経営は何時も火の車でした
従って 原稿料も きっと安かったと思います その意味でこの雑誌に育てられた若手作家は多かったように思われます

向田さんのデビュー作品は 彼女の抜群の記憶力で子供の頃からの身辺を見事に描き出しています
殆ど辞書や資料を使わず 記憶力だけで書きなぐるように書くため 間違いは彼方此方に散見されますが 昭和4年生まれの向田さんの描く昭和は 私たち団塊の世代が辛うじて味わった 古き良き昭和の香りが彼方此方に漂い 懐かしさが溢れて来ます

後に向田さんの妹和子さんが明かした 向田邦子の「道ならぬ恋」について 私は向田邦子さんが公表したことを快くは思っておりません
遺言らしきものは 乳癌罹患のこともあり何通か残しているようですが 自分の恋愛体験については何も言及はしていません
父の事 母の事 妹弟たちのことは 誇張虚構も含めてさんざん書きまくり収入の糧にしていたのですから文句は言えないかもしれませんが 自分の出した手紙も
相手が自殺した後で相手の母親から返却してもらったときに 焼却する気になれなかったのか残されていました
自分の過去の作品には殆ど拘泥しなかった向田さんですが もしもっと命を長らえて居れば 形を変えて作品化していたかもしれませんが
「昭和生まれの私には あからさまに自分の恋愛体験を語ることは出来ず この作品に 放送作家として匂わすことが精一杯だった」との言葉も残しています
再読してみましたが その痕跡を発見することは 私には出来ませんでした
そもそも 彼女がその秘められた恋の欠片をこの本に残しているということ自体が 私の思い違いなのかもしれません
 







by toshi-ohyama | 2020-08-22 06:09 | 幕張図書館 | Comments(0)
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