鴨川食堂

柏井壽さんの小説というか随筆というか短編集というか

柏井さんは　数年前に急死された友人　中村暁さんから紹介を受けました

中村さんは　赤坂時代　私の勤務する会社に常駐する　三井航空サービスの社員　後にソニー生命でトップセールスマンとなり　其れも卒業されて日本文化を紹介する仕事をされておられました

中村さんは　京都等持院の近くにお住まいで　能面師のお孫さん　生粋の京都人

中村の紹介で柏井さんの京都紹介本は何冊か読み　今も読みかけのストックが数冊あります

鴨川食堂は　京都東本願寺付近にある食堂を舞台に　毎回「想い出の食」を鴨川流（ながれ）という店主が捜し当てるというお話　ちなみに第一巻のテーマは「鍋焼きうどん　ビーフシチュー　鯖寿司　とんかつ　ナポリタン　肉じゃが」　登場人物の昔の思い出の味を２週間の調査で捜します

依頼主が京都駅から正面通りにある店に辿り着くのは　食事時で　お任せの食事を食べます

鍋焼きうどんの回の料理は「あらめとお揚げのたいたん　おからのコロッケ　菊菜の白和え　鰯の鞍馬煮　ひろうす　京番茶で煮た豚バラ　生湯葉の梅肉和え　どぼ漬け　固めに炊いた江州米　海老芋の味噌汁」　京のおばんさいを思い浮かべれば良いでしょう　

食べ終ると　京屋の長い廊下を奥の部屋へ　廊下には　流が創った料理写真が並びます

奥の事務所で娘の「こいし」に想い出を伝え二週間後に再訪　想い出の味が再現されます

依頼人は　若い時の体験で　殆ど何も覚えていない　味のひとかけらの記憶だけを頼りに　探索が行われます

料理は普通　味の異なる二種類が用意され　そのうちの一つが想い出の味　依頼人は　遥か昔の記憶を鮮明に想い出し　美味しさに涙します

料理春秋という料理雑誌に「鴨川食堂・鴨川探偵事務所「食」捜します」とだけ記した一行広告にひかれて依頼者が訪れる

店に居ついた猫の「ひるね」　亡くなった妻の「鞠子」　こいしの恋人らしき寿司屋の職人「浩」　常連客と登場人物も決まっていて　話の組み立てはいつも同じパターンです　マンネリ化せずに何処迄続けられるのか．．．　

食堂で提供されるお任せが　季節のおばんさいで中身が変わります

２０１６年にＮＨＫＢＳで既に連続ドラマ化されたようです　

主人公の流役は　ショーケン　萩原健一だったそうです　再放送しないかなあ．．．