葉室麟 2016年の書下ろし
葉室麟は2017年12月に亡くなっていますから 死の前年の作品となります
最近少し寄り道して高橋克彦とか色々別の作家を読み込んでいたので 葉室作品は久しぶりです
本作品は仏師を取り上げています 話の展開も早く読者を引きずり込んでいきます
主人公は 元々貧乏武士の三男坊 其のことが最後の顛末の所できちんと意味を成していきます
登場人物が異常に多い葉室作品にしては 30人以下に抑えられていて とても判り易い
これはきっと話の展開の最後に仕掛けとして絡んでくるだろうと 思いながら読んでいたものが そうでもなかったことに
流石 葉室麟 そう簡単では ないわい と 又 評価を上げました
巻中 十一面観音を取り上げますが この仏の誓願は
大慈大悲闡提(せんだい)誓願
一切のか弱き命 全てを救うまでこの身菩薩界に戻らじ
基本 一切衆生を救うことは不可能であり 生涯現世に留まらざるを得ない
私も 比較的多くの十一面観音を観て来ました 特に 滋賀高月の 渡岸寺(向源寺)観音が大好きですが
可也 観音様の観え方が変わったように感じます
作品を読み終えて 仏教の教えの深さを感じた次第です