葉室麟 2014年の作品
文化十一年(1814) 小倉藩で起きた「白黒騒動」を題材にしています
山に積もった雪が風に乗って平地に降りて来るのを「風花(かざはな)」と呼ぶのだそうです
冒頭に主人公が切腹する場面から始まりますが そんなことはどうでもよくなるほど物語の進行に心を奪われます
「天から降る穢れなき雪も地に落ちれば泥になります されど 落ちるまでの美しさは人の心を慰めます」 巻末に書かれたこの言葉から題名が選ばれたのだと思いますが 物語の中に「燕の巣」に係るエピソードが登場します 寧ろ燕の巣にちなむ題名でもよかったかと思ったりしました
葉室は シラノドベルジュラックに感動し 秘められたる恋を描きたかったと話したことがあるそうですが この物語ではきちんと自分の想いを恋する相手に伝えています
政争 権力闘争と三角関係 いつの世も色あせぬ題材を見事に描き切っています