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ラピスラズリブルー

それからの海舟

「天を測る」という小説を読みました 読後の苦みが残り 数冊の本を「箸休め」...というより口直しのために読みました
一つは「咸臨丸航海長小野友五郎の生涯」中公新書 幕末の幕府官僚の有能さを味わいました 
そして 二冊目は「それからの海舟」半藤一利著
それからの海舟_d0338347_12071223.jpg
半藤氏は 向島に生まれた ご存じの江戸っ子 長岡中学に学んだこともあり 薩長軍を官軍とは呼ばず 西軍と呼ぶちゃきちゃきの江戸っ子気質丸出しで 勝海舟の後半生を描いています
題名の「それからの」のそれは 西郷・勝会談による江戸城無血開城のこと
あとがきに 阿川弘之が「野球に喩えれば 相手は熱狂的な巨人ファンで 阪神の良さなんぞ 初めから一切認める気はないんですから」と書き 半藤氏の勝贔屓を表しています
勝海舟の評伝は数多く出ているようですが 人の手柄を皆自分の手柄にしてしまう大法螺吹きと評する方が多い中 半藤氏は洒脱な語り口で徹底して海舟を気持ちよく 持ち上げています
福沢諭吉の「やせ我慢の記」は 海舟に対する果たし状の様相を呈していると解説されていますが 海舟は見事な肩透かしを福沢諭吉に浴びせています
半藤氏の文章は ある意味「軽い」 江戸っ子の洒落を利かせた平易で軽快な語り口ですが 一貫して海舟を「勝っつあん」と呼び続けます

それからの海舟の事績を二つあげておくとすると 西郷隆盛 徳川慶喜 両名の名誉回復に尽力したことだと思います
海舟は 幕末 西欧諸国の日本植民地化のの荒波が近付く中で 幕府の国家統治能力に見切りをつけ 徳川家の存続と 徳川慶喜の復権を目指したように思います
戦略家としての海舟の視点を 私は高く評価したいと考えます

此の本を 買いに行って 「一外交官の見た明治維新」アーネスト・サトウ著が 再版されているのを見つけました 
以前から読みたかった本で 文庫本650頁を超える大作ですが 愉しく挑戦出来そうです
 




by toshi-ohyama | 2021-04-28 06:22 | 幕張図書館 | Comments(0)
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