フォン・ノイマンの哲学

２４年間情報産業に身を置いた手前　フォン・ノイマンを避けて通ることは出来ません

世界最初のコンピュータは　１９４４年８月に試作機が誕生したENIAC　ペンシルベニア大学電子工学科の若き研究者　エッカート・モークリーが開発に携わりました

１万８千本の真空管を使い　長さ３０ｍ　総重量２８トンという巨大な機械です　使用目的は弾道計算でした

一秒間に３００回の計算が出来たと云います

８月７日　フォン・ノイマンが試作機を見学し　様々な改善点を提案し　計算速度は５千回／秒まで改善されます

その後ノイマンは　プログラム内蔵型　所謂「ノイマン型アーキテクチャー」の　ＥＤＶＡＣ構想を纏めています

此の本の中で　１９４４年９月１８日ルーズヴェルトとチャーチルの間で「ハイドパーク協定」が密約されます

１９７２年に公開されたこの密約は　原爆は　ドイツではなく日本に投下されることがチャーチルの提案によって合意されています

米国に最初に原爆開発を提案したレオ・シラードは　原爆の使用に反対し　「フランクレポート」をルーズヴェルト大統領に提出しています

曰く「原爆を無警告で都市に投下するのは非人道的であり　日本人を呼んで砂漠か無人島で原爆の威力を見せつけ　降伏を促せばよい」と提言しています

フォン・ブラウンは　東京　もしくは　京都に　原爆を投下し　日本人の抵抗力を減じるべきと主張しています

更には　８月１９日　長崎と同型のプルトニウム型「東京ジョー」と名付けられた原爆の投下が計画されていたと著者は綴っています

私も進学校に学びましたので　秀才には結構お目にかかりましたが　フォン・ブラウンは　桁外れの大天才　同じ人間とは到底思えません

大天才の偉業はともかくも　戦後７６年目の８月　改めて平和について考えさせられる一冊でもありました