著者 小倉和夫は 1938年生まれの外務官僚であります 韓国大使 フランス大使を経て 青山学院で教鞭を執っています

本作は 寺島実郎氏の脳力のレッスンで知りました
1951年1月 講和条約交渉を控えていた吉田茂首相から 日本外交の失敗を 外務省OBから聴取して研究せよとの指示を受けた外務省政務局政務課長 斎藤鎮男と彼の同僚たちが3か月を費やして「日本外交の過誤」という調書として纏め 満州事変以降に外務省の幹部であったOB達に意見を聴取しています
これらを 小倉が評論するという形で 此の本が纏められており 吉田茂の自問は 何処にも登場しません
外務省OB達の回顧は 概ね自己弁護と関係者批判に終始し 反省の念は感じられません
総論的には 外務省には日本外交を担う理念がなかった 小村外相時代の秘密主義 もしくは小村が全てを判断し行動して外交を進めた故に 後継者が育たなかった云々
その局面ごとの事情は 理解出来ますが 読後感に大きな消化不良の生じる一冊でした