オール読物で推奨されていた一冊です
第12回山田風太郎賞を受賞した作品
荒木村重の謀反を主人公に据え 有岡城に幽閉された黒田官兵衛が絡む意欲的な作品
「黒牢城」という表題は 村重説得に訪れた官兵衛が地下牢に繋がれた処から名付けられたのであろう
ミステリー小説の形をとり 籠城中に起きる事件に悩む村重が解決の糸口を示唆するという流れです 史実を良く調べフィクションを加味した取り組みに拍手ですが 表題は少し違和感を感じます
ミステリーの展開は聊か無理筋を感じないでもない
村重の謀反は 敵対する本願寺砦に兵糧米を売り付けていたことが発覚し信長に咎められる前に立ち上がったと云われていたかと思います
この物語に 信長は直接は登場しません
官兵衛を助けるべく栗山善助が有岡城に忍び込んだという話を読んだことがあります この辺の記述にもう少し工夫がほしく感じるのは欲張りでしょうか
村重の有岡城脱出は史実でしょうが 其れに至る過程を 面白く組み上げている処に拍手です