藤沢周平の昭和60年の作品 「風の果て」です
巻末に作家の皆川博子がこんな書評を書いています「風の果ては時代を過去にとった物語ではあるが 作者が創造した世界の中で生きる人々も その状況も 現代と重なる普遍性を持っている」
藤沢が経験した世界を深化・投影していると述べていますが 正に正鵠を得た印象です
高杉良の企業小説を読んでいるような錯覚を起こす作品です
藤沢は 日本ハム創業者が経営する業界新聞社で記者生活を経験していますので その頃に見聞きした話が着想の源なのかもしれません
過去と現在を頻繁に行き来する手法は 小説の常套手段ですが些か 読者の混乱を招くかもしれません 少なくとも私にはその傾向がありました