岩井秀一郎氏の最新作
岩井氏は1986年生まれ 戦争を知らない世代の歴史研究者でし
此れまでに 多田駿 渡辺錠太郎 永田鉄山 東條英樹等 陸軍幹部達を 取り上げてきています
彼の視点は戦争経験者たちとは異なり 陸軍幹部たちを別の視点から分析しているように感じます
新資料を紐解き 彼らの内面に入り込んだ評論は 新鮮さも感じます
梅津は 元々寡黙なエリート軍人であり 日記も記録も残していません
2.26事件 ノモンハン事件 終戦と 常に後始末にしか登場してこない梅津を良く描いていると思います
但し 後始末屋として 事件の後 要職に就き処理を任されることが続きます 陸軍大臣現役制の復活や 最後の参謀総長として 阿南陸軍大臣とともに本土決戦を主張する等 強硬派としての位置付けがされてきましたが 岩井氏は終戦時の聖断は 本土決戦にあたり準備は出来ておらず 戦備も不充分である旨 口頭で行われた梅津の上奏が天皇の決断を招いたとしています
陰謀的な動きが多かったとする梅津への評価を 岩井は寧ろ梅津の作戦と評価しています
此の本では 梅津・何応欽協定には全く触れられていません 読後の疑問として引っ掛かりが残りました