澤田瞳子に注目しています

第165回直木賞を受賞し 澤田ブームが押し寄せるかもしれません
彼女の専門分野は奈良仏教史 奈良東大寺正倉院文書の研究だそうです
澤田のデビュー作「孤鷹の天」では 天智大王が創設した大学寮に纏わる話を取り上げていますが この作品は讃良大王(持統)と大宝律令の完成経緯を描いています
最後の方に 讃良は 父である天智が目指した大王による中央集権国家を律令に基づく官吏国家に組み直していく様子が描かれています
大王は政治の前線から引き 国家統治の象徴たるべき位置を占めんとする構想を讃良が大宝律令に託すという歴史の組み上げを澤田は書き上げました 一つの仮説として大変興味深い歴史視座と感じます
この小説の後 藤原不比等が国政を掌握していくことになりますが 不比等台頭の切っ掛けである「黒作懸佩刀」を 草壁から下賜されたものではなく 不比等が造らせた偽物と断じています 眼から鱗でした
次は 何を読むか 愉しみが広がります