あさのあつこ 弥勒シリーズの5作目
表紙の手のひらの上に載っている花は椿です
シリーズも第五作 漸く話の展開に躍動感を感じられるようになりました
主人公は 三人 元殺し屋 江戸の同心 そして岡っ引きの親分 足を洗ったとはいえ 本来であれば放置されることの無い殺し屋が商人として生き ニヒルな同心 叩き上げの岡っ引きと 殺人事件に取り組む 新しい世界が繰り広げられます
藤沢周平の情景描写は はっきりとその景色が目に浮かびます あさのあつこの心象描写も その人物が浮かび上がって来るようになりました 時が行きつ戻りつ 登場人物の心の中を吐露する言葉が行きかいし ふと挟まれたつぶやきが誰のものとも判らぬまま 読み進めていくと 後に其れが犯人を浮き上がらせていく重要な場面であったりし どっぷりとあさのあつこワールドに引き込まれて行きます