1978年中央公論社から刊行された 澤地久枝さんの作家としての第二作目にあたる本だそうです

所謂西山事件の公判を傍聴しながら書き上げたとのこと
山﨑豊子の「運命の人」に触発され 事件関連の本を読み始めました
本来のこの事件の本質は 佐藤政権が沖縄返還にあたり 本来米国が負担すべき基地撤去後の原状回復義務から生じる賠償金を 米国側の事情から負担を拒否され 沖縄復帰時に日本側が負担した復帰費用に400万ドルの上乗せをしたことを 毎日新聞の西山太吉が外務省の機密文書を外務省事務官蓮見喜久子に持ち出させ暴露し 西山蓮見両被告が 公務員の国家機密漏洩 公務員をそそのかし漏洩させた罪に問われた裁判です
二人は有罪となり 佐藤首相以下外務省関係者は 米国と密約を結んだことに対して一切の追求を免れる結果となります
佐藤栄作は 沖縄返還 非核三原則によりノーベル平和賞を受賞しますが 密約についての責任は一切問われぬまま 現在に至っています
澤地さんのこの作品は 山﨑豊子さんの作品の後で読むと二人の捉え方の違いが良く表れて来ると思います