本書を求めたのは カッテンディーケの「長崎海軍伝習所の日々」を再読するための予備知識を整理するためでありました

中古専門書店でも 既に保存状態の良いものは少なく「書き込み有り」を覚悟の上で購入しました
著者は「小野又五郎の生涯」を書かれた方で 海軍兵学校73期卒
海軍中尉 零戦搭乗員 京都大学理学部(物理学科) 神戸大学経営学部卒 その後関西電力 日立造船で原子力発電関連の業務に携わったとあります
「小野又五郎の生涯」は 忘れられていた偉人を蘇らせた功績を持ちますが 勝海舟に対する強烈な批判が些か筆が滑ったでは済まされぬ程激烈を極め 読後の後味が悪かったことを記憶します
本書は 兵学校出身者でなければ判らない海軍技術者養成の機微を良く掘り起こしているとの印象はあるものの もう少し長崎伝習所に主題を絞って書いて欲しかったと感じます
兵学校73期は 昭和19年3月 2年4か月に短縮しての繰り上げ卒業 904名入学 898名卒業 既に戦局は敗色濃厚であり 卒業則戦死覚悟の悲壮なものであったと思われます
終戦時にどの程度生き残っていたのかわかりませんが 彼らが平時に社会に出ていれば どれだけの戦力として活躍出来たかを想うと 複雑な気持ちが拭えません