著者の加藤聖文氏は 記録資料学という学問を追求して居られるとあります
満州鉄道 満州国に関する本は 結構読み込んできたつもりですが 中々理解出来ませんでした
最初に苦労したのは 満州周辺の鉄道の歴史 東清鉄道 南部線 日露戦争後の下関条約によりロシアから譲渡された経緯を 此の本で初めて知りました 発端は 小村外相がロシアの南下を防ぐことを目途に南部線の割譲を提案しています
次にわからなかったのが 満鉄培養線 平行線 此れまで資料として掲げられたものには 始点終点線名が明確に期されておらず全体図が把握出来ませんでした
満鉄本社の資料は 現在も中国に保管されているようですが日本人が手に取ることは出来ないもの 環境の悪い中で 良く克明に調べ上げています
結論として 日本の大陸進出計画には一貫性がなく 陸軍部内の権力闘争(統制派 皇道派)国内の政治闘争(政友会 立憲民政党)で権力者が変わるたびに 満州統治政策は翻弄され一貫性のないまま 終戦を迎えています
満鉄生みの親は 後藤新平 帝都構想同様 満鉄創業当時の後藤の「植民地経営策」は見事なものであったことを知りました
昭和史を極めるには必携の書との感想を持ちました