若き日に 写楽関係の本を読み漁りました 一番最初は池田満寿夫から
松井今朝子を読んでいて またぞろ 江戸歌舞伎の世界が懐かしくなり 新刊書の棚に此の本を見付け早速買い求めました
著者は電子書籍で恋愛小説を書いて居られるようですが 時代小説はこれが初めてのようで
写楽は 突然現れ二十八枚の大首絵でデビューします 続けざまに姿絵も出しますが 豊国の方が評判となり 僅か十か月で消え去ります
本名は 八丁堀に住む阿波お抱えの能役者斎藤十郎兵衛と云うのが現在の通説
末期に出した姿絵
其れ迄背景を塗りつぶしていたが 第三期には背景を書き入れて居ます 此のころにはすっか勢いが無くなり 評判を落とします
作者は 此のころの写楽の絵は工房で制作し 顔だけを写楽が書き入れて完成させたと推論します
確かに個性が欠落しているように感じます この絵の背景 特に直線のみを書いていた工房の女性を主人公に仕立てた物語です
内容は敢えて触れません 題名に惹かれて読み始めると 聊か期待外れな処も否めません
今回 注目したのは 装丁
表紙をはずすとこんな装丁が現れます
写楽の代表作 奴江戸兵衛の着る子持縞模様に 桜の花びらが微かに散る 粋じゃござんせんか
脱帽です