上田秀人作品
歯科医を廃業して 作家に専念するようになり 執筆のスピードは却って落ちています
お得意の分野も書き尽くしの感があり ご本人も勉強に時間が必要と話されて居られました
数か月に一度出版される書き下ろしの世界は 余程面白くないと読み続けられません
主人公よりも読者自身の成長が顕著な場合 話の筋に物足りなさを感じ始めます
上田秀人の蘊蓄ひけらかし(失礼)の世界も 読者が興味を持てなければ其れまでです
歴史に準拠する場合 歴史解釈が貧弱だったり 新しい視点がなければ 読者はついていきません
徳川幕府が平和な世をもたらし 非生産階級の武士の存在が疑問視され始めて 経済発展による商人の台頭が顕著となったときに
柳生の血を引きながら剣術はからっきし 算術が取り柄の男を主人公に据えた上田秀人の慧眼を評価します