澤田瞳子の作品

著者の専門は奈良仏教史だそうですが 同志社大学時代 能楽部に在籍していたとのこと 能楽に関する知識も豊富なようです
幕末から明治維新にかけて 幕府や諸国大名の庇護を受けていた能楽四座一流(喜多は座をなさず流派と看られていました)が扶持米を失い没落をしていく中で 金春座の地謡方の若手能楽師である滝井豊太郎、その師中村平蔵と 元南町奉行 鳥居耀蔵(胖庵)を舞台回しにして
江戸の変わり様を描く作品
中村平蔵は実在の人物で 明治の三名人と呼ばれた 初世梅若実(52世梅若六郎) 十六世宝生九郎と並び称せられた桜間伴馬の師匠でもあります
明治時代の能楽師たちの苦闘は 多少の知識も持ちますが 絶滅の危機の中で藻掻き苦しむさまを良く描いています
鳥居耀蔵は 幕末の悪人役です
宮部みゆきが「弧宿の人」と云う作品で 描いているとのことで 早速入手しました