妖人 白山伯 鹿島茂

鹿島茂は　神奈川の名門湘南高校から東京大学文学部　同大学院修了のフランス文学者

近年は　書評アーカイブWEBサイト”ALL REVIEWS”を開設　さらにPASSAGE by ALL REVIEWSというひと棚共同書店を神田すずらん通りに開いています　本の収集家としても著名であり　著作活動も活発です

本書は　幕末から初期の明治政府に大きな影響を与えたシャルル・ド・モンブラン伯爵伝です

モンブランをもじり　日本名白山と名乗っていたとか　

登場人物は　原敬　高橋是清　五代友厚　松木弘安（寺島宗則）大久保利通等々　

二回目のパリ万博の薩摩・琉球王国の出展を支援　ナポレオン三世の下で在仏日本総領事に就任しています

初めて知ったのは　王政復古のクーデターは大久保利光がモンブラン伯に書かせた企画書に基づくという史実（？）

本書では　パリ万博時の薩摩琉球王国勲章　錦の御旗の作成もモンブラン伯の助言によるとのこと　此れは鹿島の創作なのか．．．

史実として「原敬は、政界首脳に顔が広い中井弘の実子で養父は井上馨外務卿という貞子を妻に迎えた直後に天津領事に大抜擢され、陸奥宗光外相の腹心として活躍、伊藤博文の政友会に迎えられ総裁を継いで首相に上り詰めた。令嬢育ちの原貞子は家事が一切出来ないうえ病弱で子も産まなかったが、原敬は東北人らしい辛抱強さで甲斐甲斐しく妻に仕えた。が、中井弘が没し政界に地歩を固めた原敬が新橋芸妓の浅を囲い妾宅に転居すると、貞子はなんと不倫の男児を懐妊、原は「不貞の妻」を離縁し浅を正妻とした。「平民宰相」原敬は終生受爵を固辞し、無嗣のため兄の次男貢を養子にとり家督を継がせた。」とありますは　本書で貞子の実父は井上馨としています

本書は　艶書ともいえそうな内容で　ちょっとお勧めしにくい記述が続きます

私の母の実家の菩提寺永福寺が絡む神戸事件（三宮事件　日本内地が初めて外国軍隊に占領された事件）にもモンブランが絡んでいたと記されています