朝井まかての作品は 初めて読みます
日本で初めての「イコン」画家 山下りん の伝記です
作品を読む前に 私は此れ迄「イコン」の良さ 価値が全く理解出来ていませんでした
伝承によれば、聖使徒ルカによって生神女マリヤの存命中に彼女が画かれたイコンが最初のイコンだとされているそうです
山下りんが描いたとされるイコンを観たこともありますが どうしても絵画として認識してしまうので その良さが判りませんでした
この著作により 本来イコンが信仰の対象であるため 美の対象として観ること自体が間違いと気付かされました
ルネサンス以降の「歪められた」絵画法が 信仰の対象としてイコンを見る眼を歪めてしまっていると説かれます
一方で 絵画においては「真を写せ」という教えがあり 益々理解を困難にさせます
この著作は 山下りんの生涯と 宣教師ニコライの布教を重ね合わせて居り 絵画法を学ぶつもりで露西亜に留学するりんが 実は日本で初めてのイコン作家として育てるためハリストス教会が資金援助して送り込むと云う喰い違いから起こる悲劇を克明に綴っています
どうやら 元ネタはりんの残した日記のように見えます
私には 少し焦点がぼけた様に感じられましたが...