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カテゴリ:幕張図書館( 130 )

藤沢周平(5)長門守の陰謀

手元にある文庫は 1983年初版の第31刷なので 文字が小さく老眼鏡なしでは字が読めません

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表題も含めての5編の短編小説 巻末に藤沢周平のあとがきが付いています
藤沢さんが 近所の喫茶店で一人珈琲を愉しむ話を綴っています お代わりを注がれたり女主人に声を掛けられるのが煩わしいと書かれていますが 藤沢さんの自宅などすぐわかるでしょうし 何処の店の話か直ぐ判ってしまう... 意外と無頓着な方だったのかなと思ったりします

巻末の解説に 表題となった長門守の陰謀は 第1巻暗殺の年輪に収められた「ただ一撃」と同じ人物が登場すると書かれています
作家は 登場人物の性格や人となりを綿密に練り上げ物語を構想すると思われます その意味で前作を引き摺ることはないのかと変な心配をしてしまいました
初期の作品は 比較的悲惨な結末や 話の周辺を綿密に書き上げていくが故に話の進行の遅さが気になる傾向があります 年代順に読んでいくとその辺の変化も愉しみに思えます



by toshi-ohyama | 2018-07-15 06:18 | 幕張図書館 | Comments(0)

藤沢周平の歴史小説 

海坂藩は 藤沢周平が故郷山形を模して創り上げた空想上の藩です
藤沢周平は 「一茶」のような歴史上の人物の史伝も書いていますが 海坂藩を想定した下級武士 農民の話が彼の得意とするところです

「雲奔る」は 幕末の志士 米沢藩雲井龍雄を書き留めたもの 書き込まれた幕末の政治情勢は 徳川慶喜将軍就任経緯など 初めて知る史実も数多く散りばめられています
司馬遼太郎は 史実を可成り膨らませて彼の竜馬や土方歳三を創り上げました
藤沢周平の雲井は史実に忠実に書かれているように思えます

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藤沢周平の作品は 余りハッピーエンドになりません 特に初期の作品にこの傾向があります 山本周五郎が大衆小説はハッピーエンドに限ると主張するのと対照的です
この作品も 主人公雲井龍雄は討薩を叫び最後に斬首されます



by toshi-ohyama | 2018-07-11 06:03 | 幕張図書館 | Comments(0)

近代日本人の精神史

学生時代に亀井勝一郎の「日本人の精神史」を読み耽った記憶があります
本棚には今も揃って居ます

今回は NHKのラジオ講座テキスト 
番組を聴くことはありませんが NHKのテキストは意外と中身がしっかりしていて 尚且つ読みやすいです
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著者の 保阪正康氏は 昭和史の著作を随分読み漁った記憶があります
一回40分を13回 各回3人ずつの人物を判りやすく解説してくれます
愉しく勉強しました

by toshi-ohyama | 2018-07-07 05:37 | 幕張図書館 | Comments(0)

鬼はもとより

青山 文平の作品が 好きです

1948年 横浜出身 と 私との共通点もあります
「つまをめとらば」で 第154回直木賞受賞 此れは短編集です

今回ご紹介するのは 「鬼はもとより」
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主人公が 万年青(おもと)を売る浪人というところから 話が始まります
思わぬ展開に心を躍らせる時代小説です

些か文章が重い 司馬さんのような軽快に話が進んでいくわけではない
登場人物の言葉一つ一つを噛みしめていかないと 作者の伝えたいものが掴みきれない
人間の心理描写は 佐伯泰英の作品のように読み飛ばすことのできない深いものを感じます
余り作品数は多くありません 読み終えた作品は 余り頭には残りません
映画化された作品もないようです それでも気になる作家で オール読物の表紙に名前を見付けると手を伸ばしてしまいます




by toshi-ohyama | 2018-07-03 05:28 | 幕張図書館 | Comments(0)

西郷どん

NHG大河ドラマの影響からか 書店店頭は 西郷関係の本がズラリ

司馬遼太郎の翔ぶが如くは二度ほど通読 海音寺潮五郎も読破済 南洲遺訓は難解
差しあたって 文藝春秋の新装版文庫本を求めました

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錚々たる書き手が名を連ねています  新装版ですが活字は小さい 写真は豊富で参考になります
多分 これまでに文藝春秋に掲載された評論を再編集したものと思われます
並べてみると 評論家は結構勝手気ままに云い放題...評論家とは良く言ったもので ある意味当事者ではない第三者が勝手なことを外野で述べているだけというものも目立ちます
この著作は司馬遼太郎に対して嫉妬ともうかがえる批判が並べられています 余り後味の良いものではありません
確かに「翔ぶが如く」は 西郷評論ではありません 一つの歴史小説として読むべきなのだと再認識しました
司馬さんにとって 西郷さんは好きな人ではあっても 書きたい人ではなかったかも知れません 何方かといえば大久保のほうが作家としての興味は深かったように思えます



by toshi-ohyama | 2018-06-29 06:13 | 幕張図書館 | Comments(0)

謎の大王 継体

天皇(すめらみこと)という言葉は 第40代天武の時に 新たに作られました 従って 第26代継体の時代には大王(おおきみ)と呼ばれていたことは間違いありません

第25代武烈に子がなく 応神天皇五世の継体が 大連大伴金村に請われ 近江の地から招かれ第26代として即位します
即位後19年間 大和の地に入ることなく転々とし 58歳の時に漸く大和に都を開き6年後息子の安閑に譲位 譲位のその日に崩御という不思議な記録が残ります

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第二十五代武烈が崩御し 其の血筋が絶えたとき 応神五世の子孫 継体が何度も固辞の後に大王として即位 しかもその後20年近く大和の地には入らずに 王宮を転々と彷徨うように移ります
百済の武寧王と深いかかわりを持ち 在位中に任那四郡を割譲 明らかな反乱である磐井の乱があり 継体の死後 その子供たちの即位を経て継体王朝は絶えてしまう
葛城一族から出た蘇我氏や大伴他の大和の東地区に勢力を張っていた諸豪族の支持により即位した継体王朝は まだまだ不明な点が多く今後の研究が待たれます
何冊か辿っては見ましたが謎が深まるばかりでした



 

by toshi-ohyama | 2018-06-25 06:02 | 幕張図書館 | Comments(0)

藤沢周平再読開始

通勤の行き帰りに 細切れに読み耽った藤沢周平
新潮文庫版は完読 今度は文春文庫版を再読開始です
最初は

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1972年 第69回直木賞受賞作 暗殺の年輪が文春版の第一作
藤沢作品は 兎に角登場人物が多い 暗殺の年輪第一話 黒い縄は 76頁に22名
第二話 暗殺の年輪に21名 登場人物の関係をしっかり頭に入れていないと 折角の話の内容が理解出来ず 印象も薄く読み飛ばすことになります
歳をとると 藤沢文学を理解するのは とても苦労します

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第二作の一茶はご勘弁願って 三作目が喜多川歌麿女絵草紙
あとがきによると 喜多川歌麿は出自が余りはっきりしていないのだそうです
作家には 「自分の工夫」が書き込めるのが魅力だそうです
広重 写楽との競い合いがとても面白く 蔦屋 馬琴も色を添えます
藤沢周平は 浮世絵の造詣も深く 登場する絵をNETで調べ見比べながらの読書は実に愉しい時間となります


by toshi-ohyama | 2018-06-21 06:41 | 幕張図書館 | Comments(0)

佐伯泰英を卒業

時代小説の雄 佐伯泰英の作品を随分多く読み耽ってきましたが 思うところあってこの作品を最後に卒業したいと考えます

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一人の著者を手当たり次第に読み耽る癖があり 佐伯さんの作品も数多く読了しました
書下ろしの速さは 人後に落ちないでしょう 月に数冊新刊が並ぶそのスピードは 人間技とも思えないほど 話の展開も読者の先を行くもので あり続けてきました

この 酔いどれ小藤次シリーズも 本編18巻 続編も10巻目 刺客として送り込まれた須藤平八郎光寿の一子 駿太郎が12歳となり 父の敵討ちをするのかしないのか いささか気にならないでもありませんが 正直なところ 飽きました...
購入して積読状態の膨大な書籍を断捨離しなくてはと思い始め 佐伯さんを卒業する気持ちを固めました
肩の凝らぬ通勤の御供 長らくお世話になりました




by toshi-ohyama | 2018-06-17 07:03 | 幕張図書館 | Comments(0)

田中角栄の悲劇

私が社会人になった1972年は 田中角栄が総理大臣になった年
ダグラス・グラマン事件の当事者 日商岩井副社長 海部八郎氏は 赤坂の蕎麦屋でお独りで昼食をとられるところに出くわしたこともありました
ロッキード事件は 同じ時代感覚で見続けた事件でもあり 田中角栄を巡る文藝春秋の二つの記事は 発売と同時に読み耽った記憶があります

総理大臣が 逮捕されるという前代未聞の大事件 事件が発覚した時に田中角栄は
「トライスターって何だ?」と金庫番の佐藤昭に尋ねたという話も 否定しきれずに 事実だったのではと今も思います

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石原慎太郎が綴った「天才」も 今回のこの本も 結局全てを解明出来ていないと思わざるを得ない

今回の本で ロッキード資料が誤ってチャーチ委員会に送られたのではなかったことが判り 少しすっきりしたところもありますが 結局田中角栄が米国に嵌められたという陰謀説は否定されています
30億円という巨大な賄賂の行先は 結局のところ殆ど解明されぬまま現在に至っています
今回も消化不良は解消されませんでしたが のめり込んで読んだことは間違いありません

事件の核心は トライスターではなく P3Cだったのではとの疑惑は あちこちで見かけますが 正に疑惑隠しのために角栄は貶められた というのが真実なのではと
思ったりします



by toshi-ohyama | 2018-06-13 05:00 | 幕張図書館 | Comments(0)

最強の経営者

久しぶりに 高杉良の企業小説を手に取りました

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著者79歳の時の作品 著者最後の企業小説と銘打たれての発刊と巻末に書かれていますが 実際にはその後も書き続けています
数多くの企業小説を書かれた著者の取材力の凄さに感心し 読みふけった時期もあります
私の勤務する企業が 幾つかの紛争に巻き込まれたことがあります 所属していた組織員が丸ごと脱退し 仲人だった方に私自身も誘われ進退を考えたこともありました こんな時 高杉良だったらどう描くのか と疲れた心を癒したこともあります

高杉は 企業内の権力闘争を描かせると 他の追随を許しません 権力闘争は実に惨いものです 
当事者の人間性が 問われます
高杉の筆力は その場に居合わせたかのように 登場者の会話を絡み合わせます
読者は さもありなんと 物語の展開に心を奪われていきます
面白いことに 高杉は 主人公を実名で記し 他の人を変名で書くことが多い
この小説では 住友の頭取と 主人公樋口廣太郎は実名で書かれています 
此処まで罵倒しても良いのかと心配するほどの罵詈雑言を主人公が語っており 名誉棄損にならないか 其れとも事実なのか...
住友銀行の 磯田との壮烈な戦いの末 アサヒビールに追い出される形で社長に就任 スーパードライの大ヒットで 夕日ビールと揶揄された傾きかけた会社を 見事に蘇生させます 本人の言葉通り「運も能力のうち」です

読み終わって 矢張り消化不良を感じます 以前ほどの感動はありません
巻末の参考資料が 6冊と極端に少ないことにも 驚かされます
 



by toshi-ohyama | 2018-06-09 05:40 | 幕張図書館 | Comments(0)



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