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ラピスラズリブルー

カテゴリ:幕張図書館( 290 )

木戸幸一

私は 木戸幸一という人物を嫌いである 従って今迄彼に関する書物は意識的に避けて来ました
今般 川田稔氏が新書を出版しました
川田氏は「日本陸軍全史」や「満州事変と政党政治」等 優れた著作で昭和史を分析されて居り 彼の著作でなければこの本を手に執ることはありませんでした

木戸幸一_d0338347_16002591.jpg
木戸幸一は 木戸孝允の妹治子の孫 治子の夫 来島良蔵の息子であった孝正が木戸侯爵家を継承 木戸孝正となり その息子として生まれています
学習院高等科で西園寺の秘書となる原田熊雄と同級 京都大学で一年下に近衛文麿が居ます

この本では 終戦までの政治情勢を木戸の近辺から解説していますが 東京裁判については一切コメントがありません
近衛と共にA級戦犯として絞首刑判決を受けても致し方ない位置に居た男と感じます
西園寺を最後として 元老が途絶えた時 内大臣として天皇の影に寄り添っているものの 政治的岐路には必ず木戸の影を感じます

本作とは 少し離れますが 終戦時自決する阿南陸軍大臣が「米内を斬れ」との言葉を残しています
この言葉の意味が判らず 色々調べているのですが
1.東條内閣改造時に 無任所大臣として米内に入閣を求めますが 米内は拒否します
  これにより 東條内閣改造は失敗に終わり 岸の辞任拒否により東條は総辞職に追い込まれます
2.鈴木内閣組閣時 陸軍省軍務課長は 阿南を陸軍大臣に推挙する条件の中に 陸海軍の統合を求めます
  米内は 現状維持を主張し 陸海軍の統合に反対 鈴木首相も天皇陛下の御意志として統合を却下します

この二つの理由により 阿南は米内に反発を感じていたのではないでしょうか
最後まで無条件降伏に反対し 終戦の詔書に陸軍大臣としての署名を拒否すれば 鈴木内閣は総辞職 日本は大混乱に陥ったはずです
陸軍方針を自ら書き「皇軍はあくまで御聖断に従い行動する」ことを 陸軍幹部全員に署名させ規律を守らせた男が 米内だけは許せなかったのでしょうか

華族制度が 一代限りの栄誉としていれば 木戸が政治の世界で重要な役割を果たすことはなかったのではないでしょうか
近衛と木戸の権力志向・自己保身的態度には どうしても大きな反発を感じてしまいます 



by toshi-ohyama | 2020-04-04 06:44 | 幕張図書館 | Comments(0)

おもかげ橋

解説によれば 2012年日刊ゲンダイに連載されたのだそうな

おもかげ橋_d0338347_14402713.jpg
設定は 九州の某藩 一人の女性を巡る二人の武士のラブストーリー
藩主一門の厄介者を討てとの指示で襲撃に出るが 体よく藩を致仕させられてしまう
最後まで 誰が善玉で誰が悪玉なのか良くわからぬ設定 三角関係がどう決着するのか
見えない 多分こうなるのではという推定通りの結末ではありますが 楽しい娯楽小説です



by toshi-ohyama | 2020-03-30 07:16 | 幕張図書館 | Comments(0)

維新始末

司馬遼太郎が 「坂の上の雲」を書いているときに 気分転換に「空海の風景」を同時並行で書いていたと云います

現役時代に読めなかったA5版11巻の大作を丁度半ばあたりまで読み終えたところですが 流石に息が詰まり始め 上田秀人の歴史小説を一冊 間に挟みました

維新始末_d0338347_11283177.jpg
一度完結したとされている闕所物奉行シリーズの続編 「維新始末」です

例によって あとがきがあり 上田秀人は 憲法第9条第二項の削除を 提言しています
明治維新後 国民の眼を逸らすため 台湾征討から次々と大陸に兵を進めた事実は明確に否定するとともに 自衛権の放棄も否定しています
一度 上田秀人氏の憲法論を追いかけてみたいものです



by toshi-ohyama | 2020-03-26 06:26 | 幕張図書館 | Comments(0)

蛍草 

腰巻には 痛快時代小説とあります

蛍草 _d0338347_15374197.jpg
葉室麟の代表作と云えば 何を挙げたらよいでしょうか
蝉の記 散り椿 この二作品は映画化されました
ほかに挙げるとすれば 蒼天見ゆ そして この蛍草辺りでしょうか

蛍草 別称 月草 露草

「月草の仮なる命にある人を いかに知りてか後も逢はむと言う」 万葉集 作者不詳

この作品は 映画化出来ると思います 若き日の 大竹しのぶ 辺りに主役をやらせたら 見事に演じ切るでしょう
風早市之進は 西島秀俊 佐知は 芦川いづみ...
 
今 NHKでドラマ化されているようです
誰が演じているのか 興味はあれど... 観ていません 

by toshi-ohyama | 2020-03-22 06:48 | 幕張図書館 | Comments(0)

文学への憧憬

昭和56年に中央公論社から発刊された一冊の本が 令和二年に文庫本として再刊されました
文学への憧憬_d0338347_07544605.jpg
私にとって昭和56年は コンピュータ会社の担当営業として 丸の内仲通りを飛び回っていた時期です
三島由紀夫の自決は 大学3年の秋 大学生協のTVで中継があり釘付けになったことを今でも鮮明に記憶しています 音声はなく バルコニーでこぶしを振り上げ何かを叫んでいる姿が大写しになっていました 
その後 ソノラマシートで三島の肉声も聞きました 配布された檄文も読みました 就職した会社で新入社員引率で5年間自衛隊富士学校を訪問し 三島が体験入隊で世話になり愛した自衛官と一緒に仕事をしたこともあります 今も三島の行動から逃れられない心境が続いています

徳岡孝夫氏は 三島から当日市ヶ谷に来るように指示され 直接会うことはなかったようですが 檄文を渡され 遺書を託された毎日新聞記者です
ドナルド・キーン氏も三島と交流のあった方 
この作品は 二人が三島の作品の原点を訪ねる紀行文ですが お二人が話題にされる小説を私は殆ど読んだこともありません
若し この本に当時巡り合っていたら 私の読書遍歴は違うものになっていたかもしれません 私の人生自体も変わったものになっていたかもしれません
衝撃の一冊です

  



by toshi-ohyama | 2020-03-16 06:53 | 幕張図書館 | Comments(0)

炎立つ

高橋克彦の 陸奥四部作 三作目 炎立つ 全五巻

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風の陣 伊治の呰麻呂に始まり 火焔 阿弖流為 そして 炎立つは 安倍貞任と陸奥の英雄たちが無念の死を繰り返します
飛鳥時代以来 陸奥は一度として自分達から戦を仕掛けたことはありません 蝦夷には価値のない「金」が無尽蔵に近い形で産出され 朝廷・東国源氏は 自らの昇進の為に 陸奥に雪崩れ込みます 律令制が崩れ 朝廷や公家達の収入は先細りとなり 陸奥の金に食指を伸ばしていく
蝦夷達が穏やかな生活を求めて 朝廷/源氏の攻勢に立ち向かい敗れ去っていく 
頼朝の権力への執念は 奥州藤原氏の撲滅のため義経追討という言掛かりで殲滅にかかる
著者は 蝦夷の民の安寧な生活を守るためと書きますが 朝廷も蝦夷も覇権争いに終始したのではとの疑念が拭えません

蝦夷側から書かれた歴史小説としての視点を与えてくれる名著です 次は「天を衝く」が四部作の最終章となりますが 少し休息が必要です
  



by toshi-ohyama | 2020-03-12 04:31 | 幕張図書館 | Comments(0)

鬼神の如く

平成27年8月刊行された「鬼神の如く」は 翌年の第20回司馬遼太郎賞を受賞します 更に平成29年 著者 葉室麟は急逝 66歳でした

鬼神の如く_d0338347_18064041.jpg
本編は 史実である黒田騒動を取り上げています 
黒田騒動は 森鴎外も作品にしており 海音寺潮五郎も「列藩騒動」に書いて居り 新しい題材ではないようです
厳しい拷問により転んだ フェレイラを通じて遠藤周作が「沈黙」で書き込んだ信仰問題も織り込み 読者に多くの課題を突き付けている作品でもあります
これ程 小説に引き込まれ感動したのも久しぶりです



by toshi-ohyama | 2020-03-08 05:43 | 幕張図書館 | Comments(0)

この君なくば

後書きの解説には 葉室麟の幕末ラブストーリーと説明されています

この君なくば_d0338347_18491583.jpg

此君 王 羲之の第五子 王徽之に纏わる話 晋書に曰く


晋の王徽之(きし)が、竹を大変好む人で、空き家に一時期住んだときに竹を植えさせたのだそうです。仮住まいなのに?と理由を聞くと「何可一日無此君(何ぞ一日も此の君無かるべけんや)」→ 君無しでは1日も暮らせない と詠んだことから、竹の異名を此君と呼ぶようになったとか。


此君という茶碗もあるそうです


物語の進行に心奪われますが 私は以下の一言が心に強く残りました


「徳川を倒した尊攘派にあるのは 武士としての経世済民の志ではなく 天下の権を得ようという野望と報復の念だけではありますまいか」



by toshi-ohyama | 2020-03-04 06:40 | 幕張図書館 | Comments(0)

千鳥舞う

近江八景とか金沢八景とか 探せば幾つかあるのでしょう
博多八景は鎌倉末期に 聖福寺(しょうふくじ)の禅僧鉄庵道生(てつあんどうしょう)が博多の8つの風景を七言絶句(しちごんぜっく)の漢詩に詠んだのが始まりだそうで 日本で最初の八景だそうです

葉室麟は 成らぬ恋物語をオムニバス風に書き上げています

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博多八景は 何れも博多の港付近に設定されているようです

地元への造詣の深さ 中々の傑作です


by toshi-ohyama | 2020-02-28 05:41 | 幕張図書館 | Comments(0)

乾山晩秋

葉室麟初期の短編集 乾山晩秋

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表題ともなっている 乾山晩秋は 尾形乾山 光琳の弟を取り上げています 他の作品は 狩野派や等伯など絵師を主題にしています
永徳 探幽等の名前や作品は 多少見ていますが 狩野家の系譜は中々頭に入りません
狩野雪信が女性であることは初めて知りました
絵師の修羅を描きたかったようです

 


by toshi-ohyama | 2020-02-24 07:28 | 幕張図書館 | Comments(0)



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