ラピスラズリブルー

カテゴリ:幕張図書館( 174 )

半席

直木賞を受賞した「妻をめとらば」以来 青山文平という作家に注目して来ました
文庫本は読了  直木賞の受賞作同様 短編にこの作家の腕が光るように感じます
d0338347_10390855.jpg
この作品は ミステリーとしての受賞もある作品 片岡直人という小普請組から旗本への道を突き進もうとする徒目付の物語 半席という言葉もこの小説で知りました
初出は 月刊誌でもあったのか 各短編に半席の定義が繰り返し述べられ 些かうんざりする処もありました
組頭内藤雅之という直人の上司のキャラクターがとても魅力的です



by toshi-ohyama | 2019-01-14 06:59 | 幕張図書館 | Comments(0)

陸奥宗光は

カミソリ大臣と云われ 日本外交の祖と称えられた陸奥宗光伝

d0338347_12000641.jpg
外務省出身の岡崎久彦による「陸奥宗光とその時代」に比し 少し冷めた眼で陸奥宗光を捉えています
陸奥宗光から小村寿太郎に至る日本外交の歴史は 明治期の日本の大陸進出と極めて緊密な関係があり 帝国主義的躍進の演出者としての陸奥の存在は大きなものであったことに異を唱えることは出来ないと思います
陸奥は 薩長藩閥以外は人にあらずと公言するものが誠に説得力のある時代に能力主義を掲げ活躍していきます 無理やり日清戦争を勃発させたことは「策謀の人」とのレッテルを張られても文句の云えないところでしょう
議論好きではあり 理を掲げた人ではありますが 功利主義者であったことは間違いありません
林董(はやしただす)が「大を為した政治家というのは門閥の背景がなければ あとはみな戦争の勝利によって台頭した」と陸奥に語ると 陸奥は「ヤッテ見ようかネ」と述べた というエピソードが紹介されていますが 思わず陸奥の本音が飛び出したという感じです
能く勉強もしていますが ものごとを提案するときに 幾つかの案を例示し あたかも議論をしている者たちが自ら選んだ様な形で 自らの考えに誘導する技に長けていた陸奥の政治手法が 見事に書き込まれた秀作評伝と感じました
  


by toshi-ohyama | 2019-01-10 06:24 | 幕張図書館 | Comments(0)

海鳴り(上)(下)

葉室麟にのめり込んでいて 久し振りの藤沢作品

d0338347_16521736.jpg
中堅新興紙問屋 小野屋新兵衛の物語
紙問屋の商売の厳しさ 紙漉き工程の詳細な説明 ビジネスに明け暮れていた企業戦士には ぞくぞくする様な話の展開に引き込まれます
仕事に追われる中 過程を振り返る暇などなく 夫婦仲や子供の非行に振り回され 家庭を顧みない貴方のせいだと罵られる主人公 新兵衛は自分の現役時代をそのまま映し出されたような胸の痛みを感じます
小説は どうしても主テーマの他にもう一つの展開を組み込み交互にそれが絡み合い縺れる絡み合いが織り込まれます
この小説のもう一つのテーマは 商売仲間の人妻との不倫 心の葛藤の描写は 藤沢周平自身の体験無くして このように心の奥底を描けるものなのかと思わせるほど真に迫ります
藤沢作品にありがちな 暗い基調とハッピーエンドに終わらない結末を心に描いて読み耽りましたが...ご自身でお確かめください






by toshi-ohyama | 2019-01-06 13:36 | 幕張図書館 | Comments(0)

闇の梯子

藤沢時代小説 秀作短編集とはち巻きに書かれています
d0338347_14130615.jpg
短編とは言いますが 収められた5編とも可成り読みごたえのある作品ばかりです
余韻を残す藤沢ワールドが鮮やかに広がります この続きはどうなるのだろうと読者を惑わす藤沢さんの筆は実にお見事 何時ものご本人によるあとがきもなく
解説文もありません 昭和48~9年の初期作品とのことです


by toshi-ohyama | 2019-01-02 07:07 | 幕張図書館 | Comments(0)

日日是好日

樹木希林さんの生前最後の出演映画(実際には最後から二番目)が公開されると聞き 其の原作を手に取りました

d0338347_20185501.jpg
解説に 柳家小三治師匠が「この本は茶道入門コーナーに置く本ではない」と書かれていましたが 正に正鵠を得ています
表千家の武田先生(仮名)の下に通う森下典子さんの書かれたご本人の茶道修業の日々のエッセイです
森下さんは週刊朝日の「デキゴトロジー」取材記者だったそうで 茶道を続けていくうちにやめたくなる正直な気持ちも素直に綴って居られます
何事も 修練を続けていくと成長は直線的ではなく 何も変わらない日々が続き ある日突然 悟りを開くようにパッと視界が開けることがある
心を此処に置いて所作に集中しなさいとの武田先生の叱責を受け続ける 形は教えてくれるが心は教えてくれない そして「気付き」の大切さを語ってくれます

昔 つばめグリルの石倉社長に米国で教えて頂いた「気付き」も 同じことでした
他人に教えて貰ったことは身につかない 繰り返し繰り返し 自分で体験して身に付けたものだけが本物であり 自己成長につながる 
ものごとを教えることは出来ても 成長させることは出来ない 人は自分で苦闘して成長していく

武田先生にお会いしたい と小三治師匠は書かれていますが 私も全く同感です
映画が 愉しみです

表紙の茶碗は 萩茶碗十四代坂倉新兵衛作 即中斎 銘「好日」 
表千家のお茶は 泡だらけにせず 三日月状の表面を残すのだそうです


by toshi-ohyama | 2018-12-28 06:49 | 幕張図書館 | Comments(0)

回天の門

最近 葉室麟に引き込まれ 久し振りの藤沢周平 「回天の門」
d0338347_06571403.jpg
本文561頁の大作 藤沢の故郷 庄内藩出身の清河八郎を取り上げています
藤沢自身が書く恒例のあとがきで 清河八郎は誤解されていると書いていますが
確かにこの小説で新たに知ったことは可成り多かったと感じます

藩内でも有数の裕福な造り酒屋の息子として生まれ 北辰一刀流免許皆伝 文武両道に頭角を現します
桜田門外の変に強い衝撃を受け 虎尾の会を率い 討幕尊皇攘夷を掲げます
虎尾の会は 幕臣であった山岡慎太郎も含まれています
幕府政事総裁職松平春嶽に 急務三策(攘夷の断行 大赦の発令 栄西の教育)を上書し 此れに基づいて幕府は浪士組を結成 清河もこれに加わり 将軍家茂の上洛護衛として 京都に向かいます
入洛と同時に 尊皇攘夷を掲げ朝廷に建白書を提出受理されます
幕府の意向に反する行為に 幕府は驚き浪士組を江戸に呼び戻され 芹沢鴨 近藤・土方の試衛館組と袂を分かちます
清河は 麻布赤羽橋(現在の麻布十番商店街)で 見廻り組に暗殺されます

小説は 浪士組結成までの生い立ちに大半の頁を割いており 余り取り上げられなかった清河の立ち位置を追い掛けます 藤沢の静かで精密な筆致が 清河の実像に迫る秀作です 


by toshi-ohyama | 2018-12-24 06:28 | 幕張図書館 | Comments(0)

歴史のくずかご

半藤一利さんは どうお呼びしたら良いのでしょうか
学生時代は東大ボート部のスポーツマン サラリーマン時代は文藝春秋の編集者
一個人としては 夏目漱石の孫娘のご主人 編集者現役の頃から作家 文筆家...
ご本人は 歴史探偵を自称しています

漱石に関する評論として「漱石先生ぞな、もし」
歴史小説家として「日本のいちばん長い日」「山本五十六」「ノモンハンの夏」
評論家として「清張さんと司馬さん」等々

d0338347_12091569.jpg
ご紹介する此方は 書店向けに発刊している文藝春秋の「新刊のお知らせ」の巻頭言を編集したもの 180話の中から 1コラム1189字に纏め直したと あとがきに ご本人が書かれています
博覧強記という言葉が まず浮かんできます
文藝春秋創始者 菊池寛の言葉に「六分の慰楽 四分の学藝」というのが あるそうで 面白くて為になる という文藝春秋社の編集方針のようなものだそうです
何時も 半藤さんの評論はユーモアにあふれているのは この辺に原点があるようです 





by toshi-ohyama | 2018-12-20 06:25 | 幕張図書館 | Comments(0)

「戦争」の昭和史

著者 小川榮太郎(1967年生)は 戦争知らない世代

体験に依らず研究だけでこの本を書き上げたことは 素晴らしいと感じます


d0338347_11541116.jpg
各章を短く切り 冒頭に当時の関係者の言葉を象徴的に掲げているのは とても読みやすく親しみやすい工夫と感じます 何か雑誌に連載するような書き方です


この本を読みながら メモした内容

1949年11月1日 中華人民共和国成立の日

周恩来首相は盧溝橋事件は 中国共産党が 日本軍・国民党軍双方に中国共産党軍が発砲し日華両軍の相互不信を煽って停戦協定を妨害し共産党に今日の栄光をもたらした と発言している

中国に対するアメリカの門戸開放政策は 西側諸国が区画割して中国を収奪したのに対して 自由競争で線引きせず 自由に中国を収奪しようという戦略

日米戦争は 米国側に仕掛けられた戦争 膨張する日本を脅威と感じた米国が予防戦争として意図的に日本を叩いたことにより生起した

1939年(昭和十四年)7月 日米通商航海条約の一方的破棄は 日独同盟締結前であった

昭和15年9月北部仏印進駐により ドイツに敗北したフランスの植民地を奪うことにより 日本はドイツ側に立ち 英米を敵性国家とみなし 欧州戦争にアジア太平洋局面で参戦する可能性を否定しないという立場を表明したことになる

日英同盟を アメリカの強い要請により破棄せざるを得ないところから 日本は頼るべき 組むべき大国を見出せぬまま 国際社会から孤立していった


by toshi-ohyama | 2018-12-16 06:51 | 幕張図書館 | Comments(0)

若き日本の肖像

d0338347_13503277.jpg
著者 寺島実郎氏は 昭和22年生まれ 早稲田大学の大学院を卒業し昭和48年に三井物産に入社しています
昭和46年迄 三井物産は物産社員の子弟の親子入社は認めていません 此れが故に 父が物産息子は三菱商事というおかしな構図が生じていました 商社マンの子弟は帰国子女としてバイリンガルであり 海外文化を許容する資質も備え 商社員向きであることも事実 昭和47年入社からこの制約が外されました 
私が 就職を迎えた丁度その時に 父は三井物産に在籍し 私が三井物産に応募することも出来た訳で 父から「物産に行くか?」と誘いを受けたこともありました
私自身は 海外経験もなく 語学も堪能ではなく 別の道を歩みました
もし あの時に商社マンの道を選んでいたら 寺島さんと机を並べ 何処かですれ違っていたかもしれないと あらぬ妄想を抱いたこともありました
後日 寺島氏とは 多摩大学学長 私は企業の採用責任者という立場で 出会うことになりますが A5版の自筆のバインダーノートを置き 講演する寺島氏の理路整然とした評論はに聞き惚れることもしばしばでした
私の大学の同期で三井物産に入社し 一年後輩の寺島氏を部下に迎えた方によると 入社当初から新入社員らしさとはかけ離れ 始終上司に提案書を執筆して上申している変わり者だったそうです

著者のこの著作の目的は 二十世紀の総括 そのために1900年という節目の時期に焦点をあてて研究を進めています
敗戦以降 日米安全保障条約を唯一の頼りとしている日本に対して 明治維新後の日本が 欧州文明との接触の中で発展の道を歩んできたことを19世紀の終わりから二十世紀の初頭 1900年という世紀の切り替わりの時期に欧州を訪れ研鑽を重ねた日本人たちに視座を置いて振り返っています
執筆から20年近く経っても色褪せぬ名著と思います


by toshi-ohyama | 2018-12-12 06:50 | 幕張図書館 | Comments(0)

田中角栄は

此のところ 角栄ブームと云われています

d0338347_19462035.jpg
実は 田中角栄は大正7年生まれ そう 生誕100年なのでした
著者は 元毎日新聞の田中番記者
ジャーナリズムに身を置く現役のうちは 不変中立を守らねばならぬ立場で書けなかった田中角栄を纏め直したとのこと
ロッキード事件について 田中角栄に渡ったとされる5億円の授受を検察は立証できなかった 丸紅の桧山会長は田中角栄への贈賄を法廷で明確に否定している
首相の職務権限により機種選定に介入したとは言えない
とロッキード裁判の有罪判決に疑問を呈しています
田中角栄の弁護人 木村喜助氏が2000年に発刊した「田中角栄の真実」は一読に値するとも書かれて居ます
著者は この本のエピローグを書きたくて この本を書いたのであろうと推測します 角栄本としては 一番興味深い内容でした

ロッキード事件について 田中角栄に渡ったとされる5億円の授受を検察は立証できなかった 丸紅の桧山会長は田中角栄への贈賄を法廷で明確に否定している
首相の職務権限により機種選定に介入したとは言えない
とロッキード裁判の有罪判決に疑問を呈しています
田中角栄の弁護人 木村喜助氏が2000年に発刊した「田中角栄の真実」は一読に値するとも書かれて居ます
d0338347_12335702.jpg
平成12年刊行ですから そろそろ20年近くが経過しますが この本を読む限り
田中角栄は 別件逮捕であり 起訴された贈収賄 総理大臣の職務権限については 明らかに無罪であることが素人目にも明らかです
検察は 事項が迫る中での焦りから 田中角栄を逮捕し 誤認逮捕と云われぬために無理やり起訴し最高裁までもが 公正な裁判を維持することがなかった
ロッキードから丸紅に送られた5億円を見たものもなく 田中角栄に手渡されたことも証明できずに 田中角栄の死によって事件が幕引きされてしまった
闇に葬られたのは 闇将軍だけではなく もっと奥深いものがあったのではと推測します



by toshi-ohyama | 2018-12-08 05:44 | 幕張図書館 | Comments(0)



蒼き空を目指して
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
HONDA Insigh..
by 杉下です。 at 10:02
いのうえさんは楽しく、そ..
by 杉下です。 at 20:14
杉下殿 おめでとうござい..
by toshi-ohyama at 13:35
お体、大丈夫ですか。まだ..
by 杉下です。 at 16:39
杉下さん  懐かしい話..
by toshi-ohyama at 11:59
こんにちは。 20代の..
by 杉下 at 12:45
愉しみですね 是非拝見し..
by toshi-ohyama at 06:34
御茶ノ水のmizunoは..
by toshi-ohyama at 06:33
遠方の所から、通われまし..
by 中田定観 at 13:36
スポーツでも靴は一番重要..
by 杉下 at 10:37
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
New Insight
at 2019-01-16 06:51
半席
at 2019-01-14 06:59
自動車趣味人12 
at 2019-01-12 06:57
陸奥宗光は
at 2019-01-10 06:24
初詣
at 2019-01-08 06:57
海鳴り(上)(下)
at 2019-01-06 13:36
謹賀新年
at 2019-01-04 06:57
闇の梯子
at 2019-01-02 07:07
阪神大震災の教訓
at 2018-12-30 07:04
日日是好日
at 2018-12-28 06:49
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧