ラピスラズリブルー

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王道

多分 フレンチであれば日本の最高峰のひとつに挙げられるのが 東京 京橋の「シェ・イノ」ではないでしょうか

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井上旭(のぼる)1945年鳥取生まれ 彼の最初の仕事は15歳で集団就職 大阪の二つの染色会社を経て大阪駅前のカーネーショングリルからコックの道に入ります 海外修業はフランスではなくスイスシーガルテンホテルから しかもスイスに渡ってからドイツ語の猛勉強を始めたとか 海外渡航費用は故郷の4反の畑を売って作って貰った30万円 彼がコックとしての一番の修行場所は トロワグロと語っています
TVの対談番組で 今の若い人たちに自分達のような厨房修行はとても出来ないだろうと井上シェフが話しているのを聞いたことがあります

聞き手は 神山典士(こうやま のりお)1960年生まれ 佐村河内事件報道で大宅壮一賞 井上さんの話を神山さんが聞き書きし解説を加える形で全編が進みます

私は シェ・イノのランチを一度だけ 先輩に御馳走になったことがあります 遠くのテーブルに井上シェフがコックコートのまま座られて常連らしきお客様とお話しして居られるのが遠くに見えました テーブル御挨拶にしては随分長い事話し込んでいるなと感じたのですが この本によると井上シェフご自身が勉強のためテーブルで話し込むことが多いのだそうです

この本の中で オートキュイジーヌ(至高の料理)とは グラン・メゾンでコース料理として提供されるもので 季節の素材の一番良いところだけを使った料理 お金を出せば誰でも何時でも食べられるというようなものではなく 季節と場所と料理人とそれを食べる人をも峻別する料理であると語っています

グラン・メゾンとは 客にドレスコードを要求し 何時何人の予約が入ってもそれに応えるだけの高級食材やヴィンテージワインの準備を怠らないレストランとのこと
以前 私の現在の勤務先が六本木でレストランを経営していたことがあります ヒルズ族が終日集う繁盛店でしたが リーマンショックの時にあっという間に客足が鈍り売り上げは半減 毎月数百万円の赤字が続き 閉店に追い込まれてしまいました
ノーゲストでも厨房もホールも満席の時と同じ体制で臨む支配人に原価と人件費のコントロールを求めたとき「何時満席になっても対応出来るように準備するのがレストランの役目です」と反論されたことを生々しく思い出しました

銀座レカンを超一流のレストランに仕立て上げ シェ・イノで今もグラン・メゾンを続けている井上さんの迫力ある話は ページをめくる指が止まらなくなるほどのめり込ませてくれます 本場フランスのジビエ料理を日本でも提供したいと挑戦する井上さんの迫力に圧倒されます
今年5月に亡くなられた 中村徳宏シェフが「ジビエ料理をやってみたい」と話されていたことがありました 残念ながら私はこの本の中に出てくるジビエの美味しさを堪能出来るだけの舌を持ち合わせません しかし一度味わってみたいとの気持ちが沸き上がってきます

海外で活躍される方はブルゴーニュワインを好み 国内で活躍される方はボルドーワインを好まれる傾向があるとのコメントを興味深く読みました
とても グラン・メゾンが認めてくれる客には到底なれそうもありませんが もう一度 あの料理を味わってみたいとの想いを深めて読了しました

 

by toshi-ohyama | 2016-07-29 06:48 | 幕張図書館 | Comments(0)

ゴーストライター

世の中には 著名人の書いた本が結構沢山ありますが ご本人が書いているいることは少ないのかもしれません

二度も映画化された「日本の一番長い日」という本は 1965年文芸春秋新社から最初に発売されたときは 大宅壮一編として出版されています 30年後の1995年になって 半藤一利氏の著作であることが発表されています 半藤氏自身が「自分の名前では手に取っても貰えないから 大宅さんに名前を借りた」と話しています

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この本の 本当の作者は 山野 勝という方です

山野 勝 1943年広島県呉生まれ 早稲田大学政治経済学部新聞学科卒 報知新聞入社 その後 講談社に転じ常務取締役 講談社退任後 坂道研究に没頭
東京都内600か所に及ぶ名前の付いた坂道を実地検証して廻ったそうです
2000年 銀座の行き付けの居酒屋(本人はBARと話していました)で 偶然タモリと遭遇し 坂道話で盛り上がり 日本坂道学会を立ち上げる
会長が山野氏 副会長はタモリ氏 会員は二人きりで新規入会は認めない...

銀座交詢社で開催されたカルチャースクールで 山野氏の講演をお聴きしたとき 上記のように話しておられました
タモリ氏も「坂」や「暗渠」が大好きなことはNHKの「ブラタモリ」でご存知と思います しかしこの内容は明らかに山野氏が書き上げたものと思われます

山野氏の講演は 只管に坂道の名前とその由来が立て板に水のごとく次々にまくし立てられます 昭和世代の方ですのでパソコンも使われず 図表もなく
彼の博識に圧倒され続けた100分間でした この本が手元にあればもっと愉しめたのですがね 



 

by toshi-ohyama | 2016-07-26 09:52 | 幕張図書館 | Comments(0)

密着

政治記者の書くドキュメンタリーは その話題性や劇的な展開に引き込まれることが多いのですが この本もそんな中の一冊です

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出版元は 幻冬舎 またしても幻冬舎...著者は 山口敬之(ひろゆき) 1966年生まれの50歳 1990年慶応義塾大学経済学部?卒 同年TBS入社
報道カメラマンとして世界を飛び回り 2000年政治部に移動 以後安倍晋三を追いかける 2013年ワシントン支局長 2016年4月23日支局長解任 同年5月30日退社

2007年9月12日 第一次安倍内閣 所信表明演説直後の突然の辞任をスクープ 中川昭一 麻生太郎 彼らの懐に飛び込んだ著者の動きは 臨場感溢れ心を奪われます
中曽根と渡辺恒雄のように 政治家と政治部記者との関係は 何方が代議士なのか判らなくなるほど 政治部記者が介入してくるケースが良く見受けられます
安部と山口もそれに近い関係を持ち 安部と麻生との間を行き来する姿には 多少の抵抗感もあります
山口氏も全てを書いている訳ではないように感じます

先日のイトーヨーカ堂取材では 日経経済記者が毎日新聞とは取材力の差を見せつけてくれました 山口記者はTBSですが毎日系 報道のTBSの面目躍如です


 


by toshi-ohyama | 2016-07-22 18:59 | 幕張図書館 | Comments(0)

通販限定

人間ドックで栄養相談を受けました
糖尿病があることと 外食が多く食事が偏りがち 野菜不足を自覚もしています
毎回栄養士の方から的確なアドバイスを受けています 例えば 煎餅は一枚でお茶碗1杯分に換算とか 牛乳がだめならチーズで補なうとか

今回の指導では 野菜不足の解消に野菜ジュースを勧められました
一日の野菜摂取量は350gとか 
そこで飲み始めたのが KAGOMEの「野菜一日これ一本」

スーパーやコンビニで販売しているものの中では此れが一番よさそうと思ったのですが そんな時に目に飛び込んできたのが 同じKAGOMEの「つぶより野菜」

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今は通販でのみの販売 30本で¥7,776(@260) お試し期間中は
15本 ¥2,160(@144)
可也高めの設定です 確かに触感は 出来立て野菜ジュース 繊維質が可也残っており飲み心地も悪くありません 舌触りも良好 
スーパーで売らないのは値崩れ防止のためか...
取敢えずお試し15本を飲み終えて 高価格を我慢して追加注文をするかどうか...
微妙なところです



 

by toshi-ohyama | 2016-07-19 18:49 | 幕張食堂 | Comments(0)

酷似の裏側

書店の店頭に とても良く似た表紙の月刊誌を見掛けます
しかも内容もそっくり 
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月刊WILLは 編集長として週刊文春をトップ週刊誌の地位に伸し上げた花田紀凱(かずよし)が編集長を務めていた雑誌です 一方の月刊HANADAは その花田編集長(取締役)が 経営先の社長とケンカ別れをして退職し 2016年2月に新たに起こした雑誌 花田紀凱責任編集と表紙に大書しています

花田氏の立ち位置は可也右傾化していると感じますが 週刊文春時代から多くのスクープで話題を呼ぶ方ではあります
気になることは確か 
1995年月刊誌「マルコポーロ」で ホロコースト否認論を掲載し月刊誌廃刊に追い込まれ編集長を解任され 後に文芸春秋社退職 その後朝日新聞社契約編集者となり華麗なる右から左への華麗なる転身が話題になったこともあります

土井たか子在日朝鮮人説をWILLに掲載し敗訴するなど 彼の創る雑誌には話題性はあってもねつ造やデマが取り巻くという問題児でもあると認識しなくてはなりません
但し 表題付けの上手さと話題性があるので つい手に取ってしまう魔性の編集者というべきでしょうか
評論家の勝谷誠彦(まさひこ)は 花田氏が週刊文春の編集長時代の部下であったそうです

どう見ても「紛らわしい」二冊の月刊誌の間には ドロドロとした確執があるようです 背景を知りたいところですが 結局売れたほうが勝ちとなるのか... 
























by toshi-ohyama | 2016-07-15 08:12 | 幕張図書館 | Comments(0)

想い出の味

飲食業界に転職してきた平成8年 一人のシェフとの出会いがありました

株式会社つばめ 常務取締役総料理長 小浦 安巳さん つばめグリルの看板商品 ハンブルグステーキの考案者です
小浦さんは 長崎県天草の出身で敬虔なクリスチャンでもありました 私が現職に勤め始めて半年の平成8年6月 米国西海岸への研修旅行でご一緒させていただきました
「コックだったら 下手でも良いから 自分が食べた料理は必ずスケッチして心に留めなさい」と若いコックを指導しておられました 一番印象に残ったのは
「美味しいものは理屈じゃない 必ず完食して しかも必ず笑顔が溢れてしまうんです」という言葉 現場が大好きで 会社の調理職のトップになっても厨房に立つことが一番と現場を走り回っておられました

この米国研修の際 私が運転してレンタカー(セダンタイプ)で小浦さんと移動中 ハイウェイでタイヤがパンクし危うく二人とも命を落とす寸前だったという経験もしました 
こんな研修旅行中 ザガットのトップテンに入るようなサンフランシスコの繁盛店を食べ廻り色々美味しい料理を堪能する中で 出会ったのが アンチョビ
塩加減の絶妙さに酔いしれて 小浦さんに「日本に帰ったら 是非つばめグリルの定番に アンチョビを加えてください」とお願いしました
小浦さんは快諾してくださったのですが その後半年たっても音沙汰無し 暫く経ってお伺いすると「魚が違うのか塩が違うのか 色々試してみたんだけど どうしてもあの味が出ないんだ」と申し訳なさそうな顔でお詫びされてしまいました

片口イワシ 塩 気候 湿度 微妙な匙加減が上手くいかなかったようです

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写真は 海浜幕張駅構内の書店に「父の日プレゼントに如何ですか?」と張り紙して販売されていた「手造り あんちょび」
本屋が次々に倒産していく激動の時代 本だけ売っていたのでは成り立たないのでしょうね

アンチョビを見るたびに 不思議に小浦さんを思い浮かべ ちょっぴりほろ苦い想い出が浮かんできます



by toshi-ohyama | 2016-07-12 13:27 | 幕張食堂 | Comments(0)

お水取り写真展

奈良の友人 堀内 保彦氏の定例写真展 今年の夏のテーマは 「東大寺お水取り」

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堀内さんが長年撮り溜めてきた「お水取り」の写真を 組み写真にして展示されます
お水取りは 正式には東大寺二月堂修二会「十一面悔過」 今年で1265回の長きにわたって途切れることなく続けられて来ました
旧暦の2月に行われるところから修二会と呼ばれます

東大寺開山良弁僧正の命日である12月16日に 練行衆11名が発表され 2月20日から前行(別火) 3月1日から14日まで本行が続きます
練行衆の前を道案内の松明が灯すところから「お松明(たいまつ)」とも呼ばれます

お近くの方は 是非ご来場ください 入場無料です  


by toshi-ohyama | 2016-07-09 07:47 | 幕張写真館 | Comments(0)

にっぽんの洋食 明治の洋食

前職で赤坂勤務時代に良く通った店に「津々井」があります 箸で食べる洋食 にっぽんの洋食と銘打って美味しい料理を提供していました 箸で食べる以外にも調味料が和食の調味料が使われているとか 一風変わった味を愉しめました
赤坂津々井の初代の息子さんが2代目として暖簾分けされたのか 新川津々井として店を構えておられます

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名物のトロトロオムライスは 卵の皮でチキンライスを包む形ではなく 表面にライスが浮かんでいます なかなかの一品です

続いては 人形町小春軒 1912年(明治45年)創業の店は3代目 4代目が仲良く厨房を守ります こちらの名物は初代考案の「カツ丼」
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出された時には アレっと思う不思議なカツ丼 洋食屋が考えるカツ丼の姿です これも個性あふれ絶品です
 
この商売 やはりその店ならではのオリジナル商品があって 初めて銘店と云えるのではないでしょうか







by toshi-ohyama | 2016-07-06 11:08 | 幕張食堂 | Comments(0)

軍配は日経に

先日ご紹介したイトーヨーカ堂グループの経営陣交代についての本が 何となく消化不良でもう一冊購入してみました

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毎日新聞版は5月30日発売 ¥1,080 日経版は6月3日発売 ¥1,620 

2016年4月7日に行われたセブンアンドアイホールディングスの取締役会で鈴木会長が提出したセブンイレブン井阪社長の解任案が取締役会の過半数を獲得出来ず否決されてしまうところから始まります
内容の深さから 軍配は日本経済新聞側に挙げます

鈴木会長が成し遂げてきた流通革命をきめ細かく取材し辿っています ヨーカ堂創業家伊藤家との関係については 三面記事的確執は余り踏み込まれていません 総会屋への利益供与の責任を取って退任した伊藤雅俊氏は不満はあれど経営を鈴木氏に一任し敢えて介入しない方針を貫いてきたようですが 雅俊氏の子供達に世代交代したことから鈴木氏と伊藤家は対立の構図へと移っていったと分析しています

経営者鈴木敏文の成績表として業績については満点評価 後継者育成を成しえなかったことを「不徳のいたすところ」という言葉一つで姿を消した鈴木氏を感情を交えずに書き綴っています

日本経済新聞の懐の深さを感じた一冊でした


by toshi-ohyama | 2016-07-03 07:22 | 幕張図書館 | Comments(0)



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