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ラピスラズリブルー

正倉院の秘宝

梓澤要氏のミステリー小説です
正倉院の秘宝_d0338347_11342827.jpg



持統天皇を学んでいる中で 黒作懸佩刀(くろつくりのかけはきのたち)が出てきます
黒作懸佩刀は 天平勝宝8年(756)6月21日 聖武天皇の四十九日法要を興福寺で執り行った際に 聖武天皇所縁の宝物を東大寺廬舎那仏に献納した宝物で正倉院御物の目録「国家珍宝帳」に記載された中で 後に持ち出されて所在が今も不明なもののひとつです
此の太刀は 元々持統の子 草壁皇子の持ち物で 草壁の生前 藤原不比等に下賜 草壁の子 軽王子が即位して文武天皇となるときに不比等から文武に献上(返還) 更に文武が薨去し再び不比等に渡され 文武の子 首皇子が即位し聖武天皇となるときに不比等から聖武に戻されます
謂わば 皇位継承の象徴のような形で伝わっていきますが 女性天皇の手には渡されません
大和王権は 王族の間で壮烈且つ凄惨な権力闘争が繰り広げられ 特に兄弟間での殺し合いにまで至る激烈な争いが続きます
大和政権は有力豪族間の緩やかな合議制で政権が運営され 有力豪族は自らの娘たちを王家に差し出し結び付きを強化させようとします
当時の関西地方は女系相続が一般的であり 夫が妻の家に通う形で夫婦が同居する習慣はもっと後の時代に始まるようです
王家に娘を送り込み権力強化を図った始まりは 蘇我一族でありその手法を継承したのが藤原氏ですが この黒作懸佩刀は男系継承の象徴のような存在として伝わっていきますが 聖武天皇光明皇后は男子(基皇子)に恵まれますが一歳を待たずに死去 残されたのは阿倍内親王一人だけ 聖武には県犬養広刀自との間に男一人女二人の子供がいます
聖武は死の直前 後継者に天武の孫道祖(ふなど)王を指名します
皇位を自らの子以外に渡したくないとの想いが光明の心の中に過ぎったことと思います
光明皇后は 聖武の四十九日の法要の際 聖武との想い出での品を東大寺に奉納 封印します
この時に皇位男系継承の象徴でもあったであろう「黒作懸佩刀」も正倉院に収められています
然しながら 藤原仲麻呂の乱の折 黒作懸佩刀 従五位上行紫微少忠 葛木連戸主(へぬし)によって正倉院から持ち出されます
戸主は 和気広虫の夫 広虫は和気清麻呂の姉 清麻呂は阿倍内親王後の孝謙(称徳)天皇の道鏡事件を阻止する立役者です
聖武の指名した道祖王は 孝謙天皇により廃嫡 藤原仲麻呂が大炊王を立て淳仁天皇が即位 更に仲麻呂が孝謙天皇に追われて 孝謙天皇が重祚して称徳天皇となり 道教事件を経て 県犬養広刀自の娘 井上内親王の夫







# by toshi-ohyama | 2021-06-04 05:30 | 幕張図書館 | Comments(3)

そろそろ卒業?

平成期に時代小説の分野を花開かせたのは 佐伯康英と上田秀人であることは 間違いありません
佐伯康英氏は令和に入る前に卒業してしまいました ある意味マンネリ化は否めなくなりました
そろそろ卒業?_d0338347_06464849.jpg
上田秀人は後発 現役開業歯科医との兼業という 途轍もない環境下で 毎月書き下ろしを描き続けて居られました
既に書きつくした感があった時代小説の世界で 先人達が触れていなかった武家社会の片隅を掘り起こし 多くのシリーズを提供してくれました
彼が掘り起こしたのは 勘定吟味役 高家 闕所物奉行 妾屋 日雇い浪人 禁裏番 御鬚番 斬馬衆 等々 そんな役職があったのかと驚くようなものばかり
ストーリー展開の速さ 人間心理の裏表描写 他の追随を許さぬ人気作家となります
最近 著述業に専念されたようですが その頃から 以外にも書き下ろしのペースが遅くなったように感じます
更には 物語の展開速度が極端に遅くなったように感じます
一巻読み切りを前提として書いているようで 其れまでの展開を繰り返し書き重ねる習性がありました 佐伯が早過ぎるのかもしれませんが 間が空いてしまうとさて前回までの展開はどうだったか思い出せないことが多いので 振り返りがあるのは助かりました

同じ本を二度買わぬよう 最新刊が出るまで読まぬようにしているので 上田作品は手元に 今10作残っています
今回初めて ふと そろそろ上田作品から卒業しようかと 思いました
   




# by toshi-ohyama | 2021-06-02 05:59 | 幕張図書館 | Comments(0)

9条の戦後史

「9条入門」の続編


9条の戦後史_d0338347_18375780.jpg
加藤典洋氏の遺作でもあります
読むのに可也苦労しました
この連作程詳しい憲法9条論は知りません
成立の経緯から 今日に至るまでの護憲・改憲論を網羅して 詳しく解説してくれます
憲法9条が 日本人の創意により生まれたものではないことは 既に既知となっていますが 日本の安全保障が日米安全保障条約により構築されており 危機において自衛隊は米軍の指揮下に入ることは 此の本で知りました

日本国民は日本国憲法のもとで「平和のうちに生存する権利」を保障される
政府は 国民生活を様々な脅威から守る安全保障の義務を有する

即ち 憲法は自国の平和と安全を維持し その存立を全うする為に必要な自衛の措置を執ることを禁じてはいない
従って 急迫 不正の場合の必要最小限の実力(軍備)は認められる

2014年7月1日閣議決定は「国際的な安全保障環境の変化から 急迫 不正の場合の必要最小限の実力行使であれば 集団的自衛権の行使も自衛の措置として認められると判断するに至った」という見解に基づき 集団的自衛権も許されるとの憲法解釈を説明しています

戦後 重光外相が 対米対等な地位を求めて外交交渉に出ますが 対米従属関係は変わらず 改憲論は低迷します
護憲論も 自衛権放棄 国際中立化等の主張を掲げるも 具体的な実現性に欠けたままです

9条問題は 北方領土返還問題にも影響を与えます
冷戦終了後 ソ連は日米安保条約を敵視することはなくなりましたが 2016年11月 ロシアが歯舞 国後諸島返還後 其処に米軍基地がおかれない保証を求めたところ こっか安全保障局長谷内正太郎が それを保障できないと答え 米軍基地配備の可能性を示唆しています
この状況で領土返還交渉に進展が起きるはずがありません

竹島問題の韓国 尖閣諸島の中国が 日本に対して強気に出るのは 日本の自衛力の限界を知り尽くしているからではないでしょうか

9条問題が 重く圧し掛かってきます
 
 





# by toshi-ohyama | 2021-05-30 06:10 | 幕張図書館 | Comments(0)

9条入門

書店に行くと文庫と新書の新刊コーナーを覗くのが習慣になっています
眼に入ったのが ちくま新書「9条の戦後史」という分厚い新書でした
憲法9条については 研究テーマの一つとして関心を持ち続けて居り 未だ腑に落ちる説明に辿り着いていません
550頁に及ぶ新書一冊としては限界に近い厚さです
帰宅して読み始めると 著者加藤典洋氏は2019年5月16日に逝去されており 此の本が遺作となりました
更に この新書は「9条入門」という単行本の続編であるとのこと 慌てて「9条入門」を購入しました
9条入門_d0338347_11403354.jpg
鉢巻に「この一冊で全ての憲法論議は終わる」とあります
確かに 憲法9条誕生の経緯は ほぼ掌握出来ました
日本国憲法は 画期的内容であり 自衛戦争を含む全面的戦争放棄という世界に類を見ないものです

ポツダム宣言は日本の無条件降伏を求め 自らが選ぶ民主主義的政権の下で再生することが求められますが 憲法については言及されていません
平和憲法は マッカーサーがアメリカ大統領選に立候補するために 日本占領を迅速に効率的に達成した成果として米国国民にアピールする狙いでGHQによって原案が作成され 幣原内閣がGHQに対して自主的に提案して成案された形を取ることが求められます
極東委員会等 天皇の戦争責任を追及する方向に対して 第一条で国家大権を天皇から奪い天皇を国家象徴として据える代わりに 天皇を免罪する その為の条件として
第9条で 戦争放棄を謳うというマッカーサーの意図により GHJQ原案が提示されます
幣原以下政府首脳にとって 一番重要なことは「国体護持」即ち天皇大権を戦前のまま保持させることであり 当初GHQ原案には反対の立場を表明しています
然しながら GHQ即ちマッカーサーの意向には逆らえず 改正日本国憲法原案を受け入れざるを得ません
第9条の戦争放棄は 自衛権も含め国際連盟の安全保障体制に紛争解決を委ねるものであり 他の敗戦国ドイツ・イタリアにもそのような条文はありません
更には 国際社会への復帰のための平和条約締結に向けて 吉田茂が池田特使を通じて 講和条約締結後も米軍が日本に駐留し基地を無制限に自由使用出来るよう日本側から米国に申し出ることを提案し サンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約を締結する流れとなります

加藤氏の文章は 何故かとても読み辛く 一読では到底理解が出来ません
書かれている歴史上の出来事は 正確な事実なのだと思いますが 独特の言い回しが繰り返され 宗教書のような洗脳をされるようで 精神的苦痛を感じます
何とか読み終え 続編の新書に取り掛かります 同時に先輩から紹介されていたジョン・ダワーの「敗北に抱かれて」全二巻を注文しました 
此の本を避けては通れないようです




# by toshi-ohyama | 2021-05-28 05:52 | 幕張図書館 | Comments(0)

PBが変わる

PBが変わる_d0338347_08480672.jpg
イオンのPB商品です 
買ってから気付いたのですが
PBが変わる_d0338347_08481187.jpg
通常PB商品は 委託生産なのですが製造元を明記しません
処が この商品は 製造元が書かれているのです
製造所固有記号として フジパン株式会社と書かれています
近所にフジパンの工場があるのですが 私の購入したものは横浜工場の製品でした

フジパンは マクドナルドのバンズを作っている会社ですね
大きな工場では OEMで他社のPB商品を作ることで生産ラインの空きを埋めることが出来るため 固定費用率を下げることが出来 原材料も大量仕入れにより より安価に出来 結果として利益率を高めることが出来ます
大規模な売り場と大規模な生産ラインが相乗効果を上げることが出来る良い例だと思います
消費者も 品質に信頼性の高いフジパンの製品が少し安く買えることでメリットありの「三方よし」ということですね
PBは「安かろう悪かろう」の時代から脱却しつつあることが感じられます
 




イオンのパン売り場に行くと 驚くほど沢山の種類の食パンが並んでいます
相変わらず一番の売れ筋はヤマザキ製パンの「超熟」のようですが...
面白い商品を見つけました



# by toshi-ohyama | 2021-05-26 05:55 | 徒然 | Comments(0)



蒼き空を目指して

by toshi-ohyama
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